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一瞬の静寂。
「菜穂ちゃん!」
そう叫びながらリコにガシリ、と両肩を掴まれて、菜穂は少しびっくりした。
「今すぐ、脱ぎなさいっ!」
「え、今、ここでですか?」
「そう!今すぐ!ここで!」
「いくらカントクでも、セクハラです」
「黒子くんは黙ってて!」
「おい木吉、カントク止めっぞ」
「お?何すんだ?楽しそうだなぁ」

結局、部活後に更衣室で脱がされた菜穂は、期待の眼差しを当てられながらげっそりしながら出てきた。対してルンルンなリコ。
「どうだったんだ…?」
「あ、日向くん聞いてくれるの〜?素敵な数値だったわ〜家に飾っておきたいぐらい
ぶるり、と菜穂は原因不明の悪寒に襲われた。黒子が慌てて背中をさする。
それに、とリコがなにやら不穏な空気で続ける。
「それに、なんだ?」
「おっき、かった」
主語がなくとも、意味が何と無く分かってしまったその一言に、視線のはたちまちある一点に集まる。
「そうは見えないけどなぁ」
「着痩せするタイプか」
「じゃあいくらぐらいあるんだ?」
「桃井さんぐらい希望」
顔を真っ赤にしながら涙目でキッ、と部員たちを睨む菜穂に、部員たちはきゅんとする。
「個人メニュー、倍にしておきますね」
『……さぁせんっしたっ!』

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