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「あれ、あっくん草試合禁止なんじゃないの?なんで試合してんのさ…?あっ、雨降ってきた」
突然降ってきた通り雨は止む気配を見せず、白熱(?)していた大会は中止をしいられてしまった。
紫原達と別れた菜穂は、元々黒子に誠凛高校の案内をしてもうために来ていたので、黒子達について行き、改札前で濡れた体を拭いていた。
「あ?」
「どうした」
「カントクが、今から学校に来いって」
大会参加組に一斉送信されたメールを一早く見たのはどうやら火神のようだった。
「え?」
確か今日、カントクはたまには休息を、と言ってオフなはず、なのになんで、と降旗は思った。
黒子と一緒に2号とじゃれていた菜穂も、黒子と共に視線を上に向ける。
「今日オフって聞いたからテツヤに会いに来たんだけど、練習、あったの?」
「え、いや、知らねーよ。です」
敬語になっていない敬語に、思わず笑ってしまう。
「ごめんね、自己紹介がまだだったよね。奥宮菜穂、16歳。火神くんと降旗くんと福田くんは同い年だから、タメでいいよ。あ、あと、木吉さん、ですよね」
おう、よろしく、と返す一年組を見て、木吉は菜穂に問いかけた。
「なんで俺らの名前、知ってんだ?」
「テツヤから聞いたんです」
「あぁ、なるほどな。ちなみに木吉鉄平って字は…」
「あぁ、知ってます。この〜木なんの木の『木』に、大吉の『吉』。鉄アレイの『鉄』に平社員の『平』ですよね」
「よく知ってるなぁ。それにしても、よく誰が誰だが分かったな」
「テツヤから写真送られてきたんですよ」
ちなみにほら、と差し出されたスマホの画面には、海合宿で撮った集合写真が写っていた。
「あ、あのさ奥宮、聞きたいことがあるんだが…」
「ん、なに?福田くん」
「奥宮と黒子ってどんな関係なの?名前で呼んでたし…」
ちらと黒子を見ると、くしゃ、と頭を撫でられる。
「幼馴染です」
「そゆこと」
「そうなんだ…」
「そう。まぁ、質問がある人は電車で聞くから、一先ず急いで学校に戻ろうか」
そう言って、みんなで改札をくぐった。

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