土曜日の白雪姫
「そっかそっかぁ!仲直り、したんだね!」
「ほんとほんと!」
いい子いい子、と頭を撫でてくるほのかちゃんと玲央姉。二人は従兄弟なんだそうで、この間初めて知った。
「「で?」」
「うん?」
「「どこまで行ったの?」」
「…?どこも行ってないよ?」
「「え?」」
「え?なんか間違えた?」
キョトン、と首を傾げて見せると、玲央姉が勢いよく抱きついて、千夏ちゃん可愛いわ〜食べちゃいたい!なんて言った後に私を離して、ほのかちゃんとコソコソ話し始めた。うわぁ、仲間外れ感…辛い。

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まぁ、いろいろ割愛させていただくとして、そんなこんなあって冬休みに入った。
征十郎くんはWCがあるから、東京に帰ると言っていた。かく言う私も正月ぐらいは実家で過ぎしたいな、なんて思っていて、それを征十郎くんに言うと東京にいる間、臨時でいいから、バスケ部のマネージャーにならないか?と誘われた。どうせ私はお兄ちゃんの試合や征十郎くんの試合を観るつもりで全日用の通し券を買って東京体育館にへばりつくつもりだったので、無料で、しかも舞台裏まで侵入(言い方悪いよね)できるこの条件はもう素晴らしかった。から二つ折りで返事をした。
開会式が終わった瞬間に、ちょっと行ってくる、と告げた征十郎くんを見送り、玲央姉としばらくの間東京に来ている、というか私に家に泊まることになっているほのかちゃんと体育館の中にある小さなカフェでお茶をした。試合がない日は東京観光をしようよ!と言い出したほのかちゃんに、玲央姉がガイドブックを差し出して、三人でガイドブックとにらめっこしていると、玲央姉の携帯が鳴った。メールらしく、集合時間だってさ、と愚痴った玲央姉は、千夏ちゃん、征ちゃん多分外にいると思うから、迎えに行ってあげてね、なんて言い残して、颯爽と関係者のドアの向こうに消えた。ほのかちゃんはほのかちゃんで、明日コミケに行くから、今のうちに色々準備しなくちゃ!と意気込んで走り去った。さすが、嫁のためなら厭わない、だっけ。尊敬します。
よっこらせと重い腰を上げて、で口を出ると、左側の階段でなにやら騒いでいる集団が。赤が二人に黄色、緑、青、水色に紫。ちょっと地味だけど茶色もいる。レインボーカラーだなんて感動していると、なにやら赤のうちの一人と青、水色人が激しく見覚えのある人達出会ったことの驚いた。
間に入るのはちょっと怖いけど、アムロ、じゃなかった、千夏、いきまーす!
「お兄ちゃん!!」
「千夏!元気にしていましたか?」
「うん!お兄ちゃん、背伸びたでしょう!」
「はい、2センチほど」
「えー!ずるいーーー」
…………………
………………
……………
…………
………
……

SIDE. S.AKASHI
嬉々とした表情でお兄ちゃん!と叫びながらがっしりとテツヤを抱きしめた千夏を、驚きの顔で見つめる僕たち。大輝がお、千夏じゃねーか、なんて嬉しそうに言った。
「うるさいガングロ」
どうやら大輝と知り合いだったらしい。あとで大輝には制裁を下そう。
しばらく黒子と戯れていた千夏だが、ふと何かを思い出したようにあ、と顔をあげてことらを見た。と同時にテツヤの鋭い視線がこちらを向いてニヤリと笑った(ように僕には見えた)。
「集合だって、征十郎くん」
「あ、あぁ…そうか…ところでテツヤ、やっぱり、」
「えぇ、双子です。訳あって、僕は未だに納得していませんが、千夏に京都で一人暮らしさせてます」
優しい顔で千夏を撫でるテツヤに、何かで負けた気がしてたまらなかった。全てに勝つ僕は正しい、全てに勝つ僕は正しい、全てに勝つ僕は正しい。よし。そう自分に唱えて顔を上げると、アルカイックスマイルを浮かべたテツヤと目があった。なんかムカついた。沈黙10秒、先に口を開いたのはテツヤだった。
「まぁ、赤司くんになら千夏のことを任せてもいいと思うのですが、まだ何もしてませんよね?僕の大事な妹ですから、大切に扱ってくださいね?泣かせたらその瞬間でゲームオーバーですので、それ相応も覚悟してくださいね。千夏にまだ恋愛は早いのに…こんな中二に引っかかしまって…あぁ大丈夫ですよ千夏。安心してください、試合でコテンパンにやっつけて勝つついでにこの偉そうにでしゃばっている中二も矯正してきますからね」
「テツヤ、黙って聞くと酷いことしか言ってないように聞こえるんだが?」
そう聞くと、千夏に抱きつかれたままのテツヤがこちらを向いてキョトンと首を傾げた後に、にっこりと、そりゃ今まで一緒に過ごしてきた僕でも見たことのないような満面の笑みだった。青峰が端で震えているのがよく分かった。
「気のせいじゃないですか?お義兄さん
終わった気がする。普段は別として、僕はこんなに嫌味な義弟はいらない!
あー…という顔をする人達の中で、唯一千夏だけがキョトンとした顔で兄に抱きついていた。
「…?なんでお兄さんなの?」

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微原作沿い。ほのかちゃんはアニオタで腐女子です(私と同r(ry)。最近は可愛い顔して腐女子、とかいるもんね。赤司様と黒子くんのキャラ崩壊が止まらないです。お義兄さんの下が大好きです。その時の黒子くんの顔を想像したらにやけます。


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