「あ、ハル」
「茅ちゃん!」

トキヤはこの後仕事が入っているらしい。
神宮寺は女子達に囲まれていて近づけない。
仕方なく一人で食堂へ向かう憂の目に、赤毛の女子と楽しそうに話す春歌の姿が写った。名前を呼ぶと、春歌はこちらを向いて、ぱぁっと顔を輝かせた。

「なに、春歌の友達?」
「はいっ!Sクラスの茅野憂ちゃんです!茅ちゃん、こちらは渋谷友千香ちゃん、私のお友達です!」
「渋谷友千香です。友千香ってよんで」
「よろしくね、友千香。私は茅野憂、茅って呼んで」
「うん、よろしくね茅」

三人で並んで食堂へ向かう。

「入学式もHRも濃いわ〜!濃すぎやわ〜!」
「トモちゃんとハルのクラス、担任林檎ちゃんだね」
「そう!んでもってさ、広いすぎて〜」
「遭難しそう…」

がっくりとうなだれる春歌をポンポンと撫でた憂はくるりと見回した。

「ねぇ、それよりなに食べる?」

春歌と憂を振り返った友千香は私、ハンバーガーにしよ、といって列に並んだ。
春歌と憂は並んで、しばらくメニューを見上げていた。

「あ、カードで払うんだった」
「そうだったね、友千香待って!」

ポケットからピンクのカードを取り出した春歌は、友千香を追いかけようとして歩き出すが、躓いた春歌は、コケそうになった。

「うわっと、春歌大丈夫?」
「はい…ごめんなさい…」
「いいっていいって」
「あ、でもカードが…」

春歌と憂はカードが落ちて行くのを何もせずじっと見ていたが、

「っと、セーフ」

シャランとブレスレットが鳴って、誰かの手が春歌のカードをキャッチした。

「へへっ」
「来栖…助かったよ」
「どーいたしまして。ほらよ」
「ありがとうございます…」
「困るな、おチビちゃん」
「ん?」

来栖のうしろからした声に目を向けると、そこには神宮寺の姿が。

「レンさん、入試ぶりですね」
「おや子羊ちゃん、同じクラスだね。運命感じちゃうよ」

投げキッスをしたレンに、周りからきゃーと歓声が上がった。

「おチビっ!」
「そのレディには、俺が先に目を付けたんだ」
「レン!俺の名前はおチビじゃねぇ!来栖翔だぁ!」

ぼうと二人の会話を見ていた春歌は、はっと我に帰った。憂は来栖の隣でケータイをいじっていた。どうやら友千香に二人分の食事を買って貰う旨のメールを送っているらしい。

「あのっ!受験の時は、ありがとうございました!」
「また会えるとは、運命だね」

あれ、似たような事さっきも言った。と憂と翔は二人で震えていた。

「相変わらず軽い奴だな」

背後から声がして、振り返ると聖川が立っていた。聖川は憂を見て、あっという顔をした。

「聖川だ。おめでとう」
「む、茅野か。お前もおめでとう」
「どういたしまして」
「そっちは相変わらず堅いなぁ」

そう言ってスタスタと聖川のところへいるいて行ったレン。タタタッと友千香は春歌と憂に駆け寄った。

「なに!恩人Bって神宮寺レンだったの!?そして茅はそんな二人と知り合いなの!?」
「あ、はい。茅ちゃんこそ、そこのお二人と知り合いなんですか?」
「え、あぁ。神宮寺財閥の御曹司、神宮寺レンと聖川財閥の嫡男、聖川真人。私は赤司財閥の赤司征十郎とクラスメイトだったの。入試の時に二人に手紙を届ける様にお使いを頼まれたの。それで知り合ったわけ」
「茅、」
「なに、友千香」
「あんた、帝光中だったの?」
「うん」
「え、じゃあキセリョとかと一緒に学校生活送ってたの!?」
「というか涼太とは同じバスケ部に入ってたから」
「なにそれ!羨ましい!!ってか、茅って…なんかすごい」
「なにがさ」
「だって帝光中のバスケ部って…そもそも赤司財閥のお坊ちゃんと知り合いなんでしょ?それからあそこ、緑間コンポレーションのお坊ちゃんの緑間真太郎もいるんでしょ?二人ともバスケ部入ってて、キセキの世代?だっけ。で、茅はそこでマネージャーやってたんでしょ!なにあんた!どんだけハイスペックなの!Sクラスって言うのも頷けるわぁ…」
「そこ関係なくないか?」

腕を組んでうんうんと頷いている友千香を引きずって、適当に空いている席に憂達は腰をおろした。

「でも、キセキの世代って、若干アイドルと化してたよね」
「あ、そうなの。ファンとかいてね…」

次は黒バスメンツ出したい( ´ ▽ ` )

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