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「じゃあ、お互い頑張りましょう、なまえ」
「うん、ありがとう」

セラフの、どこか無機質にも感じられる真っ白でぴかぴかな校舎の中で遠坂凛と向き合うなんて久々で楽しい時間だ。それでもすぐに思い出されるのは岸波くんをNPCと間違えた彼女の姿。こんなこと言ったら、相当お怒りになるのが目に見えているから、絶対に言わないけれど。
ふっと少しだけ口角をあげ、優雅に歩くその姿を目に焼き付けるようにしながら名残惜し気に一歩踏み出す、と。

ーー嬢ちゃん、

「……っ!」

はた、と立ち止まる。きぃん、と耳鳴りがしたような、そんな気がした。

ーーやるな、嬢ちゃん!
おっもしれぇな!……なら良い。俺がお前に従ってやるよ!
令呪なんていらないよ、私は私の力だけで貴方をを屈服してみせる。
ごめんね。私は君を、元の居場所に戻してあげたいんだ。君が、たとえ、どう思っていたのだとしても。
おいーーおい、なまえ……!

頭の中に流れ込んでくるのは、遠い昔においてきたはずだった、淡い記憶。ちくしょう、最後だけ名前呼びやがって。あのサーヴァントは、そう、私の目の前に立っていたであろう、あの槍兵は確かに、

「ラン、サー……?」
「ちょっと、どうしたの?貴女、かなり顔色悪いわよ」
「ねぇ、このセラフに、私をあだ名で呼ぶ人なんて、いなかったよね?」
「え?私の知ってる限りでは、いなかったと思うけど」
「そうだよね、何で、どうして」

声が聞こえる。何を言っても私を名前で呼ばない、あのムカつくどうしようもなく愛しいサーヴァントの声が。それでも最期だけ呟いた声ははあんなに、そう、あんなに呆気なく消えてなくなっちゃって。
忘れもしない、私を嬢ちゃんって呼んでるあの声は、他の誰のものでもなくて、あれはーー

『主よ!大丈夫ですか!』
「(……問題ないよ、ごめんねランサー)」

思い出さないようにと、あんなに気を配っていたのに、私は。
こんなのってない。泣けない。もう会えないはずだったのに、こんな所にいやがって。ばかやろう。





第五次聖杯戦争でランサーの擬似マスターになり、終わったあとでも死ねないからだで(作り物の人間みたいな?姿は変わらない)なんだかんだで結局ムーンセルでの聖杯戦争に参加することになった今度はディルムッドのマスターである女の子。捏造ばっかしのifのはなし。