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「#幼馴染」のBL小説を読む
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確かに答えをくださいとは思ったけど、余りにも想定外すぎて頭がフリーズした。

なんで。どうして。うそ。
今の今まで正しい意味で伝わったことなんてなかったのに。

「あーくそ、締まらねえな……」

取り敢えず泣き止めと誤魔化すように渡されたハンカチを有り難く借りて涙を拭くけど、止めようと思えば思うほど際限なくボロボロ溢れてきた。訳のわからない状況に混乱したのか堰を切ったように流れ込む感情に為すすべもなく視界が緩む。
私こんな泣き虫じゃないはずなのに今何で止まってくれないの。ゴシゴシ瞼を擦るけど止まらなくて、手首を堀に掴まれて我にかえった。目が腫れるぞ、頭の上からかけられた言葉はびっくりするくらい優しかった。

「お前が泣いてるのに言ったのは狡いってわかってっけど、」
「……う」

落ち着けと言わんばかりに頭をぐしゃぐしゃ撫でられて、深呼吸すればじわりと涙が滲んだ。
ひっく、しゃっくり上げながら堀の顔を見上げたけど今度は逆光でよく見えない。夕日の眩しさに一度瞬きしたら、目頭に溜まっていた雫か一粒落ちていった。

「アイツに告白されてんの見て、凄え嫌だったし焦ったし……取られるんじゃねえかって思ったらどうしようもなくて」
「……」

それは不本意というか見せ付けてしまったのは単なる偶然。別に私が故意に呼んだわけでなく、寧ろ堀が予想外に来てしまったのだけど。

「あんだけ好きとか言ってきたくせに、甘えてくるくせに他の奴の所に行くのかって考えちまったし」
「好きって、き、気付いてたの……?」
「あ?あれだけはっきり言われたら気が付くに決まってるだろ。でも困ったみたいに笑うから深い意味なんてなかったんだろうって無理矢理納得して」
「う、それは、その」

返す言葉もない。好意をきちんと伝えられない私は酷く臆病だったし、そんなんじゃダメだと私にだってわかってる。

「悪い、今のは俺の言い方が悪かった」
「……ん」
「ったく、お前は回りくどいくせに妙にストレートで素直だから振り回されちまうよ」
「そんなの、」

好きだから好きって言うのは何が悪いの、ばか。そう言おうとしたけれどすぐ伸びてきた堀の手に口を塞がれた。
うぐ、変な声が出る。予想外の出来事に背中から凍りついた。

「もう後手に回るのは沢山だからな」
「う」

後手に回るってなんだそれ。どういう意味なのか訳がわからない。

それでも、仕切り直しと呟いて小さく口角を上げた堀の顔にどうしようもなく見惚れた。

「好きだ。長谷部、俺と付き合ってください」

さっき聞いたのに、改めてまた言ってくれる辺りが律儀だ。しかも堀のちょっと照れた顔なんてレアだよ、こんなの絶対忘れられないし忘れてなんかあげない。
何回も言わなくたって返事は決まってるよ。喜んで、そう言いたかったけど口を塞がれたまんまだから言えっこない。どうしたものかと数秒視線を彷徨わせて、

あ。
口を塞いでるのが掌じゃなく堀の指だと気が付いて、小さく口を開けた。

「ーーーっ!?」

がぶり、ちょうど唇に当たってた中指を甘噛みして、慌てて手を引っ込めた堀の顔を見据えたらちょっとだけ優越感を感じる。
うん。泣かせられた仕返しだもん。ばか。

「私も。食べちゃいたいくらい大好きです、なんてね」

一矢報いれただろうか、見当違いのことを頭に浮かべて笑ったら、肩を掴まれて強引に抱きしめられた。

それは夢だったのよ


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