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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

「好きだってお前、さっき告白されて」
「……断ったよ」
「様子が変だったのって、アイツのことが好きとかそういうんじゃねえのか」
「そんなこと言ってないもん。あの人じゃなくて堀だもん」

「お前、それ……」

今好きな人が目の前にいるのに、ついでに言うと二人っきりなのに、どうして「好きだ」と言ってくれた人は堀じゃないんだろう。
そんなワガママなことを思ってしまったのがいけなかったのかな。

「そういう事言うと、勘違いされちまうぞ」

これだけ言ってるんだから気が付いてよ。勘違いして欲しいから言ってるんだよ。

それを伝えられたら良かったのに。

「……ごめんね」

ぴしりと固まってしまった表情に、堀の心中を何となく悟って無意識に謝っていた。自分でも意味がわかんなくて、この謝罪は突然言ったことに対してなのか好意を告げたことに対してなのか頭の中が混乱している。
告白する時ってどうするんだっけ、私これが初めてだからわかんないよ。これ結局伝わってるの伝わってないの。ていうか振るんならいっそ一思いに振ってほしい。正直悲しみとか苦しみとかキャパオーバーだけど、無駄に期待して落ち込むくらいならスパッと言ってくれたほうがスッキリするもん。

「こんなこと言われても困っちゃうよね。そんなつもりじゃなかったの。本当にごめん」
「ちょ、おい長谷部待てって……!」

居たたまれなくなって背中を向けて立ち去ろうとしたけれど腕を掴まれて引き止められる。こういう時、男の子は卑怯だ。力に逆らえなくて振り向かせられ、両肩に手を置かれて正面から向き合わざるを得なくなった。

心臓が痛い。胸がドキドキいいすぎて意味わかんない。死んじゃうんじゃないかってくらいに顔熱いし視界はぐしゃぐしゃだし涙出てきた。

ああ、もう、今泣いたって困らせるだけなのに。不甲斐ない自分を責めるのと、引き止めてくる堀に八つ当たりするのと半分半分。
下向いたら涙がボロボロ出てくるし、だからといって顔を上げたら目が合ってしまう。見えないけど。

やだ。ひどい顔だから見ないでよ。ようやく絞り出した声は小さな子供みたいなものでしかなかった。
悪かったから泣き止んでくれ、心底困り果てた堀の声が聞こえたけどそんなんで泣き止めるはずもなく。何度も何度もしゃっくり上げながら一生懸命深呼吸した。あやすようにゆっくり叩かれる背中、じわりと滲む視界。
ああ、もう今日ダメ。涙腺緩みっぱなしでどうしやうもない。

「悪い、その、」
「あ……」


ああ、堀ももしかして気が動転してたりするのかなぁ。余裕ないのが自分だけじゃないと思ったら少しだけ気が紛れた。

ごめんね、でも許してね。私も勇気振り絞ったから、その答えだけください。ごめんね。
真っ直ぐに合うその視線も、向けられるのは最後なのかなあ。泣きそうになりながら唇を噛みしめる。

「……俺も、お前のこと好きだ」

へ。
頭の中で、堀の言葉を何度も何度も反芻する。

あれ。私、夢みてるのかな。堀が真っ赤になったのなんて初めてみた。

そのままの君でいい


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