04




「はぁ?」
「だから!ルークさんがずっと部屋から出てこないんです!」

それを何故俺に言いにくるのかが理解できん。
そう言えば「王様だからです!」と言われた。言い返せなくて困った。

「ずっとって……3日4日篭ってるわけじゃねぇんだろ?」
「今日でちょうど1週間です」
「…………」

小さく溜息をついて、俺は立ち上がった。
動いてくれるのかとポーンが顔を輝かせる。
残念だったな。

「俺はそこまで暇じゃねェんだよ!」
「うぁあああぁあ痛い!痛いです!!」

ぐりぐりと踵でポーンを踏んでやれば、案の定涙を浮かべて渋々出て行った。
貴様ら、俺を一体何だと思ってやがる。

(それにしても――……)

少し気になるな――――








「おいルーク」

ガン、と扉を足で蹴る音で目が覚めた。寝てたらしい。
それにしても扉を蹴るとは……キング自身も認める足癖の悪さである。
「入ってええよ」と言えば、遠慮の欠片もなく扉が開かれた。
俺は上半身を起こしてキングに目を遣る。

「ポーンが心配してたぞ」
「ははっ、大将も心配してきてくれ……冗談やん!」

鋭い視線が刺さったので冗談はもう言わないでおこう。
言葉にも態度にも出さんけど、キングは誰よりも家族みたいなロイヤルファミリーを大切にしてるから、きっと俺のことも心配してきてくれたんやろ。

「悪いな、大将」
「……どうだ、見つかったか」

まったく、という意味を込めて首を横に振った。
キングは扉を閉めると、俺が寝てるロングソファの向かいにある一人用のソファに腰掛ける。
俺は自嘲気味に笑いながらキングと向かい合った。

「こんだけ、こんだけ調べてもあかんかった」

そういった俺の背後には膨大な量の書類の山。
キングが視線を落とすのがわかる。

「俺はほんまにあいつの呪いを解いてやることができるんやろか」

こんだけ調べた。俺が調べられる範囲ではもう全部調べた。
関連書籍、聞き込み、異国の地に行ったりもした。

「調べつくしたんや。やのに……何も見つからんかった」
「……で?何も出来ん自分に苛立ちでもしたか?」

我が道を行くキングは自分に嘘をつかへん。
言いたいことははっきり言うし、それは君主にとってなくてはならんもんや。
けどこのときばかりは俺の怒りを買った。
一遍殴ったろと思って落としていた視線を一気に上げる。
あんだけ殴ったろと思っていた気持ちが一瞬で消えたんは、きっとキングが真剣な目でまっすぐ俺を見てたから。

「そこで諦めたらただの時間と労力の無駄だ。すべて一瞬にして消える」

ゆっくりとキングが立ち上がった。俺はオッドアイの瞳から目が離せん。
キングに魅入られるように、視線がキングを嫌でも追っていく。

「俺の方で少し調べた。お前は寝ろ」

キングはパサリと書類の束で俺の頭を叩いた。




一瞬、時が止まった

100402

……………………
キングなんやかんやで優しいといいと思う。



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