07




朝日が照らしつける海。キラキラと輝いている水面。
その爽やかな風景に反して、自分の心の中はドロドロと真っ黒なものが渦巻いてた。
結局昨日の夜からずっと港におる。あの女――ティアとはあれっきり。
俺が海賊になるための、準備してくるって言うて何処か行ってしもた。

俺、俺は、ほんまに復讐したいんか?
相手は今まで≪仲間≫やった奴等。
弱っちいくせに頭の切れるポーンに腐ってるけど何かと優しいクイーン、解りにくい優しさ見せるくっそドSなナイトに何でも見通す俺様キング。
それと――……

「先、生……」

ぽつりと零れた言葉は、昔の恋人でも何でもなくって、先生――ビショップやった。


「ルークの坊や」

突然背後から声が掛かって飛び上がる。
勢いよく後ろを振り返ってみれば、ティアの姿。
朝も昨夜見た姿と変わりなく妖艶やった。

「ようこそ、ルーク。闇の世界へ――貴方が憎んだ、貴方が生まれた海賊の世界へ」

艶かしく笑ったその顔は、見るもの全てを魅了した。もちろん、俺も。
伸ばされた手を、俺はとってしまった。



「お前が、ルークか」

俺は近くに泊めてあった船に上がらされ、すぐ船長らしき奴の前に通された。
確かにリーダーに相応しい気迫はある。
しかし海賊らしいその容貌に、かすかに吐き気を覚えた。

「ああ」
「ティアから全部聞いたぜ。王室に裏切られたんだってなァ?」

俺をあざ笑うように小さく下卑た声が響く。
警戒心を隠そうともしないで、いつでも武器をとれるように集中した。
船長は豪快に笑うと、一歩ずつ俺に歩み寄ってくる。

「そう警戒すんなや兄ちゃん。今日から仲間なんだぜ?」

そう言って、俺の肩に乗せようと手を伸ばしてきた。
気分が、悪い――――










「失礼、キャプテン。うちのルークにその汚い手で触れないでくれますか?」

その男は俺に手を伸ばそうとしていた船長の喉元にその輝く剣を突きつけていた。
船長の背後に見えた姿、海風に揺れるその青銀の髪、悪魔みたいな紅く輝く瞳


ああ、紛れもなく






俺が捨てたはずの≪仲間≫

100822

……………………
とりあえずナイトさんいいとこどりっぷ




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