06




夜の港町、海に臨む防波堤に腰掛けてルークは一人溜息を吐いた。
きっとキングは自分が出て行ったのに気付いていただろう。

「(気付いてて、止めんかった)」

出て行ったのは自分自身なのに、どうしてか胸が痛かった。
刺さったナイフは勝手に抜けない。自分でも抜けない。
片膝を抱いて、そこに顔を埋めた。



「あら、お城のルークじゃないの」

突然背後から聞こえたハスキーな女の声にビクリと体を揺らして振り返る。
そこには白い綺麗な髪を持った艶やかな女がいた。

「天下のキング様にお仕えするルークが、一体こんな港町に一人で何の用かしら」

形のいい唇が弧を描く。決して濃くない口紅が、彼女の妖艶さを引き出していた。
女はゆっくり近づいて、ルークの隣に座る。
何も言えずにいるルークに微笑んで、一言告げた。


「あらまぁ、辛気臭い顔しちゃって。悩み事かしら?私でいいなら聞くわよ」





きっと僕は話してしまうだろう

100710

……………………
きっと僕は理性が働いていない

「そんなの簡単じゃない」

何が正しいのかわからない

「そんなの」

悪魔が囁く

「あなたが」

僕は悪夢から目覚めることはできない






「海賊になって復讐したらいいのよ」



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