05




「は――……」

呆然とした。
あまりにも姿を見せないルークを心配したポーンは俺のところへ来た。
キングは一切干渉しようとしないらしい。

   『ビショップさん、』

ポーンの泣きそうな声、いつもとは違う涙。
俺自身もよくあるルークの行動に、そこまで気にはしていなかった。
けれどポーンがあまりにも真剣な目を向けてくるもんだから、柄にもなく焦燥感を覚えた。
それを表すように、早足でポーンと共にルークの自室へと急いだ。
重そうな扉を開くと、そこにいるはずの青年の姿は何処にもなかった。

「ポーン、キングとクイーン呼んでこい!」
「は、はいっ!」

部屋の中の隅々を探すも、あいつの姿はない。
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして。
何故何も告げずに出て行った?一体あいつは何処へ行った?
疑問ばかりが浮かんで消える。
その考えを掻き消すように、俺はひたすら城内を駆け回った。







「……行ったか」
「え……キングさ……それ、どういう意――」
「キングはルークが出ていくことを知っていたのよ、ポーン」

わけがわからない、といった瞳が二人の姿を映す。
戸惑いの感情で綺麗な桃色の瞳が揺れた。

「どういう、ことですか」
「どうもこうもねぇよ。あいつは出て行った、それだけだ」
「貴方知ってたんですか」
「恐らく俺が原因だろうな。いや、正しくは真実が原因ってところか」
「ルークさんは何処へ行ったんですか、貴方は彼に何をしたんですか!」

珍しく声を荒げるポーンを、冷めた金と銀の瞳がポーンを捕らえる。
ポーンはというと、ビクリと肩を震わせた。

「言っておくが、出て行ったのはルークの意思だ。俺のせいじゃねぇ」
「……っ、なら!ルークさんをこのまま放っておくつもりですか!!」

半ば叫ぶようにそういうと、キングはいつもの不敵な笑みを浮かべた。
裏があるような、妖艶な笑みなのに――何故か、安心できる笑み。







誰が放っておくつった?

100611

……………………
「あいつは出て行ったが、それを俺が許可した覚えはねェ」
「俺がそう何日もサボらせると思うか?」


「出るぞ。ビショップ呼んでこい」



なんだかんだ仲間思いな王様。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -