過去ログ | ナノ






真夜中の縁側に、ポツンと座る少女が1人。呆然と月を眺めていた。


「名前」


不意に声のした方に顔を向ける。そこには、銀髪で翡翠色の瞳をした少年が立っていた。


「冬獅郎…」


名前は虚ろな目を向けると、少年は哀しそうな顔をしてその視線に応える。ゆっくりと名前の隣まで進むとそのまま立ち止まって空を見た。


「…虚圏…か、」


ポツリと呟かれた言葉に眉間の皺を深める日番谷。ふと視線を名前に戻すと、虚ろな目で空を見つめ続けていた。


「みんな、行っちゃったね」

「…あぁ」


反逆。それが名前をこんなにも鬱にしてしまった原因だ。仲間を重んじる彼女にとって、隊長格3人が一気に居なくなってしまった事は精神的にショックだったのだろう。しかも“裏切り”という形で。


「…眠れなかったのか?」

「うん」

「こんな所に居たら風邪引くぞ。そろそろ部屋に戻ったらどうだ」

「いいの」


一向に動こうとはしない名前を心配し、どうにか部屋に戻そうとするものの、日番谷の気持ちが彼女には届かないらしかった。彼女の様子は変わらない。只呆然と空を見ているだけだ。


―――…市丸…


脳裏にあの厭味な微笑みが蘇る。日番谷は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。前々から怪しいとは分かっていたのに、何故名前をアイツと離して置かなかったのか。



――――藍染…!



偽りに塗り固められたあの微笑みと、冷酷な眼差しが心に突き刺さる。何故、何故反逆を阻止出来なかったのだろう。何故名前を苦しめるような出来事が次々と起こってしまうのだろう。全ては藍染の仕組んだ事なのは分かっているものの、自分の無力さに腹が立った。


「……」


日番谷は名前にそれ以上話しかける事が出来ずにいた。肌寒い風が頬を掠め、彼女の長い髪をさらさらと揺らす。一瞬見えた彼女の耳に小さく輝くピアスに胸をえぐられるような気分になり、耐え切れず瞼を閉じた。


「…冬獅郎」


いきなり口を開いた彼女に不意に目を見開くが、やはり名前の様子に変化は見られない。それほど心の傷は深いのだろう。日番谷は彼女の言葉をじっと待った。




「冬獅郎は、居なくならないでね」




胸が押し潰されそうな苦しみが押し寄せる。名前が呟いた言葉は、あまりにも暗く、悲しい重みを持っていた。名前は日番谷を見ていない。只空に浮かぶ月を眺めている。


「…あぁ」


日番谷は視線を彼女と同じ月に合わせ、小さく呟いた。










invisible chain.





(俺はお前の前から、消えたりはしない)
























091122
ベアトのキャラソン聞いてたら暗くなった← 本トはさっくんで書きたかったけど無理だった^p^
若干原作沿い要素入ってますね(^^;基本長編の設定引っ張ってきてるんで。あんまり意味は無いけど。

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