過去ログ | ナノ






まただ。また彼女が来る。廊下を軽快なステップで鼻歌を歌いながらいつものように無駄に明るい笑顔をして。嗚呼、また彼女が来る。


「冬獅郎!遊びに来たよ!」

「遊びに来たなら帰れ」

「相変わらずつれないね!もう慣れたけど!」


そう言って躊躇いもなくソファーに座る名前。ふぅ、と息をつくとリラックスしたように寝転んだ。これはいつもの事。何をするわけでもなく、ただそこに寝転んで少し寝て起きて俺に話かけて気が済んだら帰る。彼女はいつもそうだ。俺には理解出来ない彼女の暇潰し。少し前までは追い出そうと必死だったが、それも流石に疲れてしまった。別に彼女が寝ている間は俺の仕事に支障が出る訳でもないし、なんだか諦めと共に納得してしまった自分がいた。


「おやすみ冬獅郎」

「また寝るのか」

「そのつもりだけど何か?」

「いや、別に」

「起きてて欲しい?」

「寝てろ」

「了解」


ソファーから少し顔を出して俺に答えると満足げに微笑んで完全に寝る体勢に入る彼女。そんな中も俺は平然と仕事をする、フリをしていた。また彼女の顔を見て心臓が跳ねる。頭の後ろに腕を組んで目を閉じる彼女を確認すると、俺はバレないようにため息をついた。
最近俺はおかしい。彼女を見るだけで心臓が変にドキドキしたり顔が熱くなったり。この前たまたまそれを見ていた松本に「それは恋ですよ」なんてバカにされ、変にその言葉を意識したりして俺は今まで以上にパニック状態になっていた。


「…………どうしたってんだよ、俺は」


恋というのは、俺が彼女の事を好いているという事。そんな事有り得ない。だって彼女は毎日のようにサボりに来ては俺の仕事を阻んで楽しそうに笑って帰るのだから。邪魔をされていい気分になるヤツなど居るわけない。そう脳が否定する。しかし、彼女を許している自分がいる事も俺は自覚済みだった。また脳内で葛藤が始まる。彼女を見ると完全に夢の世界にいってしまったようで、幸せそうな顔をして眠っていた。また少しずつ熱を増す頬に気付くと、俺は思わず持っていた筆を置いて机に伏せた。
それは恋だという言葉を心が必死に否定する。だが今まで無かった状況に納得せざるを得ないのが現実であって。今まで体験した事もない現象。自分の異変に対応出来ずまま、俺は必死になって彼女の暇潰しに付き合っていた。



「………早く帰れよお前」



思わず呟いてしまった言葉が本心なのか自分でも分からないまま、また俺はため息をついた。
















(君が好きだなんて自分でも信じられないけど、世間的にはそれが事実らしい)

























100110
「初恋」シリーズ第1段。
なんかシリーズもの書いたら明るくなれるかなとか思って^^^でもgdgdじゃ意味ないよね!HAHAHA!笑うしかない^p^

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