過去ログ | ナノ






「日番谷さんにハッキリしてもらいたい事が1つ」


真剣な表情で俺の前に立つ名前。机に両手をついて何か異議でも申し立てるように俺を見ていた。今回は何を言い出すんだか。そろそろコイツのいきなり発言にも慣れてきた。


「あたしの事好き?」

(あー、やっぱりそういう)


大体話は読めていたが、わざわざ止めるのも面倒だったから言わなかった。結局無視してしまえば先に飽きるのはあっちなのだから。


「あ、無視しようとか考えてる」

(何故バレた)

「ダメだよ冬獅郎。制限時間は10秒。答えなかったらこの書類に墨ぶちまけるから」

「はぁ!?」


彼女の手にはさっきまで置いてあった墨汁の入った硯、机には重要書類が山の様。もし本当にそんな事をされたら火の粉を被るのは確実に俺だった。コイツを自由にしておくのがまずかったのか、やっぱり追い出しておくべきだった。そんな後悔を募らせている間に、彼女のカウントダウンは始まっていた。


「10、9、8」

「待て待て、いきなりなんでそうなる」

「7、6、5」

「人の話を聞け!」


段々と硯を斜めにしていく名前。浅い硯に3分の1程入ったら墨汁は重力に負けて容赦なく淵に近付く。コイツ、本気だ。


「4」

「だから」

「3」

「お前、」

「2」

「あ゛ーもう、分かったよ」

「1」

「好きだから!硯を戻せ!」


多分、こうしないと書類は無事じゃなかったが、もう書類なんてどうでもいいと思えるくらい、俺はピンチだった。
自分で聞いておいてあからさまに驚いた顔をする名前は、俺の言う通りに硯を置く。その光景はなんだか滑稽で、でも、笑えなかった。


「冬獅郎、それ、本トに」

「あー…いや…」


答えろって言われたのだから、別に“嫌い”と答えてもよかったのに、俺は何故か咄嗟に“好き”だなんて口走ったりして。何て失態。これでまた名前が調子に乗る。


「今のは唐突過ぎて」

「じゃあやっぱり、嘘」

「だから、そうじゃなくて」


今にも泣き出しそうな顔をして俺を見る彼女をどうすることも出来ない。放置する訳にもいかないし、出来る筈もなく。ぽとりと落ちる涙が机に跳ねて小さい音を立てた。あーもう面倒だ。


「何泣いてんだお前っ」

「だって、冬獅郎が あたし割と真剣に聞いてたのに」

「割とって何だ割とって」


もう冗談なんだか本気なんだか分からない彼女の行動にお手上げだった。仕方なくおれは席を立つ。机の前に着くと俺より背の高い名前が手で顔を隠しながら涙を拭っていた。


「名前、ほら」

「…何」


腕を広げて見せる。少し覗かせた目からそれを確認すると名前は少しだけ驚いたように眉を動かした。今日は出血大サービス。こんな展開は不本意だが仕方ない。3分の1くらいは俺の所為でもあるのだから。
戸惑いを見せていた名前だったが、3秒もすればそんなの関係なくなる。俺の名前を掠れ声で発すると、勢いよく抱き着いてきた。


「ふぇぇ冬獅郎ぉぉ」

「ガキかお前は」


頭を撫でてやれば泣いたまま笑う。仕方ないな、なんて安易に思ってしまうのはきっと、少なからず彼女の事が好きである証拠なのだろうか。釣られるように小さく笑うと、名前はまた抱き着く力を強くした。










a-la-mode dance





(きっと素直には言えないから)

























101010
焦り過ぎて何を書いているのか分からずまま10年10月10日の十の日記念に日番谷さん夢。アラモードって流行って意味だけど普通にプリンとかそう甘いぜ的な意味だと思ってくれればgdgd…(´д`)

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