過去ログ | ナノ






「冬獅郎さぁ」


突然目の前から発せられた声に驚いて顔を上げると、すぐそこに名前の顔があり思わず声を上げる。彼女は表情を変えることなくこちらを真っ直ぐに見ていて、それによって合ってしまった視線をなかなか外せずにいた。


「眉間のシワ、疲れないの?」

「…何だいきなり。つーか顔近ぇよ」


そう言うと渋々顔を離す名前。そのまま流れるようにソファーに座ると瞬時に背もたれに手をかけてこちらを向いた。


「冬獅郎、私は君が心配で仕方ないよ」

「喋り方が気持ち悪いから聞く耳持たん」

「理不尽!」


つまんないな、と呟きながらいつも通りの口調に戻しつつ座り直す名前を見て、俺は“呆れ”しか起こらなかった。何故彼女はこんなにも忙しなく表情を変えられるのだろう。自分的にはそっちの方が疲れると思うのだが。
彼女は何事もなかったようにソファーに寝転がっている。その姿に思わずため息をついた。


「ほら」

「…何が」

「ため息。やっぱり疲れてるんだって」

「自分の良いように考えすぎだろお前」


俺の言葉なんて耳に入っていないようで、彼女はトコトコとこちらに向かって来る。そのまま机の正面に立って、また顔だけこちらに近付けた。ひたり、と触れた彼女の指は真っ直ぐ俺の眉間を指している。いつになく真剣な表情の彼女を見て、俺は反射的に目を見開いた。



「シワ、やめた方いいよ。その方がずっとカッコイイ」



ふわりと笑ったかのように思えたが、次の瞬間、彼女は触れていた指で俺目掛けてデコピンをした。完全に隙をつかれた俺は、その衝撃をもろにくらって、自分でも間抜けに思えるほど普通にリアクションをしてしまう。笑い転げる名前。驚いて何も考えられていなかった脳が一気に苛立ちで支配される。腹立つ。本気でそう思った。


「まさかこんなキレイに決まるとはね」

「ふざけんなよお前ぇ!」

「あーまた眉間ー。せっかくいい顔してたのに」

「誰の所為だと思ってんだ!」


机を離れて部屋の中央に向かってまたトコトコと歩き出す名前。丁度中心かと思われる場所で立ち止まると、くるりと半回転して、彼女は改造し尽くした死覇装をなびかせながらこちらを見て満面の笑みを浮かべた。


「冬獅郎!スマイル!」


頬に両手の人差し指をつけてベタな“スマイル”を示しながら笑いかけてくる彼女を見ながら、本気で心配してくれている事に気が付いた。何の根拠も証拠もなうが、長年の勘、というものだろうか。今時誰も言わないようなベタなセリフを言うと同時に、これまたベタなポーズをとる彼女の姿に思わず全ての毒気を抜かれた俺は、それでも素直に笑おうとしない自分気付きながらただ苦笑していた。
















(鬼に金棒、てか)

























100527
久々ひつ夢ーヽ(´∀`)ノ今本誌のBLEACHすげぇですよね。ひつはまだまだ出なさそうですけど。くそ…ギンいいとことりやがって…
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