過去ログ | ナノ






「部活、入るんじゃなかったのか」

「んー」


帰り道、俺の前をナチュラルに歩く名前を見てふと聞いてみれば、ただ唸るだけの答えが返ってくる。昨日まで運動部に入るか文化部に入るかさえしつこいくらい迷っていたの彼女。そして今日が部活の組織会である。それにも関わらず彼女は俺の前方を悠々と歩いている。あんなに楽しみにしていたのに何故入部を辞めたのだろうか、そして、何故入部もしていないのにこんなにも上機嫌なんだろうか。
そう思っている間にも彼女はくるくる回りながら道を進んでいく。それに合わせるように少しだけ歩みを早めれば楽しそうに小さく笑う彼女の姿が目に映った。疑問ばかり浮かぶ。念願の部活だったのに何故彼女は入部しなかった事を嘆かないのだろう。さっきより少しだけ遠くなった彼女との距離を縮めるようにして、俺は夕日のオレンジに染まった道を踏みながら口を開いた。


「なんで入らなかったんだ」

「別にー」

「あんなに楽しみにしてただろうが」

「そうだけどー」

「いいのか、それで」

「いいのー」


くるりと振り向いて、満面の笑みを浮かべる名前。その表情は悔いなどは全く無く、ただ満ち足りた様な笑顔だった。


「だって、あたしが部活入っちゃったら冬獅郎寂しいでしょ?」


今まで何ともなかった夕日がいきなり眩しく見えた。深いオレンジに染まった道で、堂々と恥じらいも無くそう口にした彼女の姿は、さながら舞台女優のようで、純粋に綺麗だと思った。
そりゃ、俺だって考えなかった訳ではない、彼女が部活を始めてしまえば、今まで一緒に帰っていたこの道を1人で歩かなければならなくなる事ぐらい。しかし、それは名前自身が望んだ選択であり、俺が1人になろうが関係はない、俺に出来るのはただ名前を応援することだけ。そう思っていた。
当たり前のように告げられたその言葉は、俺の事を考えていてくれたという喜びに浸るには十分で、加えて恥ずかしさでいっぱいになるには十分過ぎた。
夕日の光に任せて、赤くなる顔を隠さずにいれば平然と微笑みながらなんちゃって、とおちゃらけたように言う彼女がこちらを見ていた。


「まぁ結局入る部決まんなかったし、結果オーライ?」

「…じゃあ俺は今上手く言いくるめられたって訳か」

「そんな事ないんだけどなー」


空笑いをして歩き出す彼女のスピードはさっきより遅くなっていた。どうやら内心は後悔する気持ちもあるらしく、帰ろう、と笑いながら差し延べられる手は、なんだか切なげだった。ひしひしと彼女の優しさを感じる。柄にもなくその手を取れば名前は満足そうに口角をあげて、少し速くなった俺の歩く速度を制するようにして、隣を歩きだした。










sentimental blossom





(君の思考に存在出来ることだけでも嬉しいのに、繋いだ手を握り返す事に迷う自分との戦いで俺は精一杯だ)


























100421
クロス様リクの「甘甘・学パロ・幼なじみ」・・・のつもりです・・・・・が、え(=・ω・)?
甘甘とか難しいwwwなにこれwww本トgdgdでごめんなさいorzorz
最近ひつネタ切れてきたな…どうにかしなきゃ…
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