BLEACH | ナノ








色とりどりの花が庭を飾った時期も過ぎ、気づけば辺り一面ただの土になっていた。花が枯れて拗ねた彼女の背中を庭に確認しながら、俺は相変わらず仕事をこなしているわけで。そんなこと毎年繰り返されることなのにそこまで気に病むことがあるだろうかと個人的には思ったりするのだが、彼女の中では多分重要なことなのだろう。大体いつもそうだ。ハタから見れば大したことはなくても、彼女はそういう小さいいろいろなことを大切にしている、そういう子供みたいな性格だった。
雑草のような目立たない草達の間に立ちながら随分長い時間呆然と庭を眺めている。飽きないものなのだろうか?というのも野暮なんだろうが、そう思ってしまうのが残念ながら普通なわけで。度々「どうでもいいこと」に落ち込んだり拗ねたりする彼女を見てきたが、何と無く、今日は何かを思わせた。


「おっきな向日葵があったの、そこに」


ポツリと呟く。そういえばここら辺の花が満開だった頃は一際目立つ向日葵が咲いていた。それも枯れ、茶色く変色した後は、そのままにしておくわけにもいかずついに誰かが切って捨ててしまったんだろう。彼女はそれを気にしていたのか。


「あのままにしておくわけにもいかねぇだろ」

「でも」


どうやらよっぽど気に入ってたようで、茶色くてカサカサになった姿だとしても残っていてほしかったらしい。これもまた俺の価値観ではあるが、向日葵的にはそんな姿見せられたものではないと思う。自分が1番綺麗に咲いていたのを輝いた目で見てくれていた彼女には特に、枯れ果てた姿などまじまじと見られたくないはずだ。と、俺は柄にもなく考える。
呼ぶと少しだけ反応して、渋々諦めたように寄ってくる。不機嫌そうに唇を尖らせている姿もこれが何度目だろう。小さな子供を見ているような気分にさせられながら、俺は机に入れてあった手のひらほどもない包みを手渡した。
不思議そうに俺を見た後、包みを開けると彼女の目の色が変わる。


「向日葵の種、」


5つほどの向日葵の種。松本がいつの間にか取ってきていたようで、包みに入れて置いておいたものだった。途端に目に光が戻り喜ぶ姿もまたただ子供と変わらず、何というか 自分が完全に世話係に成り下がっているような気分になりながら、それでも心の底では悪くないと思っていることも承知なのがなんとも言えない。早速植えたいと喚き始めるところは流石に呆れたが、春まで待てと言い聞かせた。


「この種があんなに大きくなるんだね」


再び向日葵のあった場所に立つ彼女。種を握りしめながら、気に入っていたあの花の姿を空に思い浮かべて笑う姿を庭に見ながら 俺は 少しだけ、早く夏になればいいと思った。










(きっと笑うだろ)
























140328
とある企画を見学に行った時にちょろっと書いてみた…ヒロインが幼くなるいつものパターン
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