BLEACH | ナノ





「なんで切ったんだ」


彼女が髪を切った。気晴らしだとか気分転換だとか理由はあるんだろうけどそれにしてもバッサリと、俺は女の気持ちとか分からないしあまり理解しようとも思わない方だと自覚もあるけど、随分思い切ったものだと思った。特に丁寧にしていたわけでもなさそうだったが、どうやら評判の良かったその髪が無くなりすっきりした彼女の顔周りを見て、まぁ少しは残念というか、勿体無いというか。彼女を長年知ってる奴からすれば当たり前の感情を俺もそれなりに抱きながら いつものように暇つぶしでやってきた彼女を見る。
そういえば髪を切るという行為にはよく失恋が原因にあげられるらしいが、実際どうなんだろう?俺は女ではないし考えたこともないから分からないけど、それで吹っ切れるものなんだろうか。それほど髪は大切ということか?まぁ、愛だの恋だのというものに関わったことがないからどの程度大切であるかなんて俺には理解出来たものではない。でも、そう簡単に捨てられるものではないことぐらい知っているつもりだ。


「失恋したから」


なんてあっさりと。まさか想像していた理由が見事に当てはまるとは自分でも思っていなかったが、少し拗ねたような声色で言われたのが引っかかる。別に俺が何か悪いことをしたわけでもないだろうに こいつの恋愛事情に俺が関わっているはずがない。
反応に困っているとやっぱり不服そうに「何、無言」となんとも簡潔に不満を伝えてくる。まずこいつに好きなやつとか居たんだな、と根本的に驚いていたけど、そのまま発するのもなんだが恥ずかしくて「そんな相手」とか若干遠巻きに言ってみたりして。意図を汲んでか汲まずか、数秒睨んだかと思ったらいつも通りソファに横たわってしまった。背もたれで見えなくなる姿。いつも俺とこいつにはこの隔たりがある。ぼんやりと彼女が横たわっているであろう辺りを眺めながら髪の短くなった姿を思い出す。さっきの不服そうな顔、なんのコメントも無しでは忍びないのか。仕方ないから、でも少し恥ずかしさもあって当たり障りない言葉を必死に選んで、「似合うんじゃねえの?」なんて疑問形で投げてみたら、寝転がっていたはずの彼女はあからさまに驚いた顔をしながら起き上がってこちらを見つめた。


「何だよ…」

「いや、びっくりして」


徐々に顔が赤くなる彼女を見て少しこちらも恥ずかしくなる。時間感覚とかあまり意識はしていなかったけど、どうしようもなくて随分長い間顔を見合ってから思い出したように顔を逸らした。首を摩る彼女を横目で見ながら、あ、やっぱり短くてもいいじゃん、とか思って恥ずかしくなったりして、自分でも誤魔化すようにくしゃりと髪を掻きあげた。
















(たまには恥ずかしいことでもしてみようと)
























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