BLEACH | ナノ






何の色気もない、と、思った。流星群を見に行こうとわざわざ俺を現世まで誘っておいて、こいつのことだから丘とか公園とかそういうちょっとそれっぽい所で見るもんだと思っていたのに、何の躊躇もなくあいつは山の上の木に立っている。そりゃ、山の上だったら暗いし木の上だったら何の障害もなくて星は見やすいだろうが、わざわざ俺を誘ってここまで来ておいて何でそうなったんだ。本トに星だけ見に来たのかお前は。よっぽど俺の方が女子っぽい発想をしていて気持ちが悪い。と、心の中で悪態をつきながら俺もまだ彼女とは別の枝に立ってまだ星が光っているだけの空を眺めている。大した会話もない。というか俺達の間に大した会話なんてもの元々存在してなかった。だってそうでもなかったら俺がこいつに付き合ってここまで来ることなんてなかったんだ、あいつが一方的に俺について来るよう押し付けて仕方なく。とか言うと平然と「じゃあ来なきゃよかったじゃん」とか言われるから言わないけど。


「なんであたしについて来たの」


空を見上げながら彼女は言った。そりゃだって、お前が来いと言ったから。と答えても多分彼女の問いへの完答ではない。何故、何の得もない自分の誘いに乗ってついて来てくれたのか。いつも言葉が足りないんだよお前は。そう考えながらも彼女の言いたいことを疑いも迷いもせず分かってしまう自分にちょっと飽き飽きしたというか、げんなりしたというか、苦笑。
じゃあ何で俺を連れて来た、と問いに問いで返してみると、彼女は2秒とかからず笑って言った。


「冬獅郎と、星が見たかったから」

「だろ」


何故何の利益も無いのにお前の話を素直に聞くのか、何故お前について来たのか、説明しないと分からないわけじゃない。ただ、確かめたかったんだろ 少し不安になっただけなんだろ、全く。言葉が足りないんだよ。俺も、お前も。なんて。













(星が流れたことだって、教えてやらないんだ)





















130814
日番谷!久しぶり!昨日は流星群が見れたとのこと(曇)
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