BLEACH | ナノ

あたしの世界の話をしましょう。あたしの世界は、あたしと出会った人達が全てを作り上げていて、真ん中にあたしがいて、みんな笑ってて幸せで、誰もいなくならないの。誰か1人でも居なくなったらそこは誰も埋められない。その世界にぽっかり穴が空くと、悲しくてあたしが泣くから世界の全部が涙を流します。1人1人がとても重要で大切だから、少しも欠けてはいけないんです。そういう世界。
昔、そんな話をした気がします。あの時君はなんだかピンと来てなさそうだったけど、わがままなお前らしいと言って苦笑しました。はっきり言って、こういう考えの人は少なくないと思います。だって、誰かが居なくなったらみんな悲しいでしょう?何か大切なものがなくなってしまって、もう二度と手には入らない。ぽっかり穴が空いてしまって苦しいと感じたことは誰だってある気がします。悲しみに暮れている間にふと、ああ、もうこの人は声を発しない、話せない、触れてくれない、笑ってくれないと思うとどうしようもない苦しみに襲われます。何かで埋めてしまえばいいのかもしれません。でも、他の人と違うあたしの世界ではそんなこと出来ないんです。その場所はその人のためだけの場所だから、何かで代用しようなんてことは出来ません。空いた穴は空いたまま塞がらない。君の世界はどんな世界なんでしょう。君はあたしとは全然違うから、あたし中心のあたしの世界とはまるで違うんだと思います。今更ですが聞いておけばよかった。…聞いても君は「んなもんねぇよ」なんて言いそうですが。そんなことを考えていると、やっぱりこの場所に来てしまいます。君の居ない執務室。ぽっかり空いた窓側の席を見つめながら、やっぱりあたしの世界を思ってしまいます。
ねぇ冬獅郎。君はあの時笑ったけど、やっぱりあたしの世界はこの席みたいにぽっかり空いています。あの時からずっと、空いたままです。きっとこの席にはいつか誰かが座ってしまうのでしょう、だってそうしないとこの世界は繋がっていかないから。でもあたしの世界は違います。ずっとぽっかり空いたままです。この世界ではもう、あなたは新しい言葉を紡がない。名前を呼んでくれない、笑わない。それでもあたしの世界にあるあなたの場所はずっと空いたまま、いつか君が戻ってくるまで待ち続けています。いつまでも。











(涙でいいから繋ぎ止めておきたいの)























130208
今年始めてがまさかの日番谷しんでる
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