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「…何で居るの」


雲が疎らに浮いている空を背景に見えたのは、屋上のタイルに沿って子供の様に歩く彼女。またか、と思いつつも俺は横たえていた体を起こした。


「折原が寝てたから」

「どういう事」

「折原が起きなかったから。一緒にサボり」

「授業出なよ」

「アンタもね」


俺はいいの、と言えばふて腐れたブーイングが返ってくる。別にどうでもいいのだけれど、それにしても何故、彼女は俺に付き纏うのか。俺は人間が好きだけど、押しの強い人は若干苦手なんだよな。


「何で俺なの」

「何が?」

「もっと絡みやすい人いるでしょ、他に」

「折原が好きだからだけど、悪い?」

(いや、悪い?って…)


何処で何がどうなって好かれているのか分からない。そもそも俺は人に好かれるような性格じゃない(自覚してるよ)。まぁ、彼女がどの程度の好意を俺に寄せているのかは分からないが、少なからず世に言う“嫌い”という部類ではない事は分かる。…それがどうしたというのだ。


「あんまり俺のそばにいると、友達減るよ」

「大丈夫、まず友達居ないから」

「…」

「ね、似た者同士」


そんなこと言われても嬉しくないけど。彼女は青空を背景にした中でも際立つ程無垢なまま笑っていた。ガキか、と思いつつも何となく胸が高鳴ったりするのも事実。
さっきも言ったけど、俺は彼女みたいなタイプが苦手な訳で。だから若干彼女に惹かれ始めている自分が嫌でなるべく遠ざけてきた筈なのに、計画通り動いてくれない人間、またも苦手な訳で。


(上手く行かない、なぁ)


そんな事を考えていることなんかこれっぽっちも気付いていないであろう彼女。相変わらず笑みを絶やさないままタイルの線の上に立っている。チャイムが鳴る。スピーカーに視線を向けると、彼女はまた俺を見た。


「行こう、折原」

「え?」

「次の授業。流石に出ようよ」

「…ああ」


差し延べられる手を自分でも気付かないうちに握り返して、俺は立ち上がった。人並みの暖かさの手が無性に暖かく感じた。


「折原の手、冷たい」

「…名前の手が熱いだけだよ」


いきなり名前を呼ばれた事に驚いたのか、目を見開いて俺を見る彼女。まるで百面相のように表情をコロコロ変える彼女に、なんだか自然と笑いが零れた。


「臨也でいいよ、名前」
















(飛び出す 境界線を)

























101003
無駄に時間かかってしまった感が…我の場合すぐパパッとかかないとgdgd感が更に増すから嫌なんだけど(´д`;)折原ェ…
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