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「臨也、好き」

「え、知ってるけど」


余りにも突然の告白にも関わらず、臨也は名前の言葉を軽くスルーする。ソファーに座る彼女はふて腐れたような顔で臨也を見ている。そんな彼女に目もくれず、怠そうな体勢でデスクの椅子に腰をかけながら何かの書類を読んでいる臨也。名前は更に不機嫌そうな表情を浮かべた。


「何そのスルー」

「人が仕事してる時に押しかけてきて何言ってんの」

「今日はたまたま波江さん居ないだけじゃん」

「だから大変なんでしょ」

「サボり魔」

「追い出されたいの?」


やっと自分に目を向けたかと思うと、その臨也の表情はあまりに無表情で、反射的にソファーにしがみつく名前。ごめんなさい、と名前が呟くと、臨也は何事もなかったようにまた手元に視線を戻した。
時計の秒針だけが響く室内。沈黙の中、暇を持て余した名前は無意味だと分かりながらも口を開いた。


「ねぇ、臨也はあたしの事好き?」

「人は、好きだね」

「そうじゃなくてー、あたし自身」

「さぁ、それはどうだろう」

「えーあたしはこんなに臨也が好きなのにさー、ねぇ臨也ー」

「―――…あのねぇ」


バサリ、と臨也の持っていた書類が音を立てる。いつもより低くなった彼の声が名前の背筋を固まらせた。ゆっくりと立ち上がった臨也の重い雰囲気に押されて、名前は目を離す事が出来ない。目の前まできた臨也に、何か言ってやろうと口を開く名前だったが、その瞬間、勢いよく肩を押され、手首を掴まれてソファーに押し倒されてしまった。気付けば鼻が触れ合う程近くにある臨也の顔。名前は思わず目を見開いた。


「そう簡単に好きとか言うもんじゃないよ」


心地好い音量で囁かれる言葉に、名前の心臓がドクンと跳ねる。丁度焦点が合うくらいまで離された顔を見ると、呆れたような、加えてこの上なく楽しそうな表情で臨也はこちらを真っ直ぐ見つめていた。背中に寒気が走るような感覚が彼女を襲う。


「さて。俺の集中力は名前に奪われちゃったし、責任取ってもらわないと」

「―――…へ?え、あの、臨也さん?」


ニタリと口角を上げる臨也。
―――嫌な予感しかしない。
名前は反射的に逃げ出そうと手足をばたつかせてみるが、凡人が彼に勝てるわけもなく、彼女の手は彼に掴まれており、足も彼の体に押さえ付けられていて動けない。


「どうせ俺が構ってくれないからって拗ねてたくせに」

「そうだけど!こういう展開を望んでたわけじゃなくて!」

「聞く耳持たないな」

「酷い!」


半泣き状態の名前の瞼に、宥めるようなキスを落とす臨也。羞恥に駆られる名前を更に追い込むようにして、臨也は彼女の耳元に口を寄せて、そのままクスリと笑ってみせた。



「好きだよ名前。…なんてね」
















(足りなかったのはお互い様)

























100603
いつもより短く纏めたつもりだぜ!臨也って裏っぽいから書きにくいぬ(´・ω・)我裏は書かないから
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