過去ログ | ナノ






「・・・何その格好」


一仕事終えて家に帰ると、そこには有り得ない程フリフリの洋服を纏った彼女がいた。何処のお姫様だよ、と軽く心の中でつっこみながらソファーに座ると、彼女はソファーの後ろに回って背もたれに肘をついた。


「波江さんがね、“アンタ少しぐらい女っぽい格好してないと男に飽きられるわよ”って言ってたから、試しに」

「また変な事ばっかり素直に聞いちゃって」

「フリフリ可愛いでしょ」

「君には似合わないよ」


しらっと言ってやれば口を尖らせてあからさまに不機嫌そうな顔をする彼女。だって似合わないのだから仕方ないじゃないか。俺は名前の無駄のないセンスが好きだったの。まぁ他も好きだけど。…何のろけてんだか自分。


「せっかく褒めてくれると思ったのになー」

「君はいつも通りの方がいいよ、若干子供っぽくなってるみたいだし」

「すいませんね子供で!」


ほらやっぱり子供っぽい。服の所為なのか俺の反応の所為なのか、彼女の言動はいつもより低レベルで、扱いが面倒なっていた。これは拗ねる前兆。完全にそっぽを向いたらそれこそ本当に面倒になる。
頬を膨らませながらキッチンの方に向かう彼女の背中を見ると、リボンが一つほつれていた。
彼女は何がをぐちぐち言いながら今日の夕飯を作るべくシンクの前に立った。ああ、拗ねてても料理はしてくれるのか。なんて呑気な事を考えるのと同時に「これ以上拗ねたら夕飯抜き」という現実が頭を過ぎりふと立ち上がる。そしてそのまま彼女のいるキッチンに向かった。


「何さ」

「今日の夕飯は?」

「…ハンバーグですけど」

「ベタだなぁ」

「文句言うなら作んないよ」


やっぱり無しか。想像していた通り、洗った手をタオルで拭きながら言う彼女はまだ不機嫌そうだった。


「ねぇ名前」


するり、と腰に手を伸ばす。驚いて肩を揺らした彼女を口元だけで笑いながら、ほつれたリボンを直してやると、彼女は真っ赤にした顔でこちらを見た。


「何いきなりっ」

「いや、リボン解けてたから」

「気に入らないんでしょっ、別にそのくらいいいから」

「気に入らないなんて言ってないさ」


腰に回した手をそのまま流れるように彼女を抱きしめる。密着すると彼女の背中は緊張したように正され、横目で顔を見ると耳まで真っ赤になっていた。くすり、と笑いながら彼女の首元に顔を擦り寄せると、彼女は恥じらったように「くすぐったい」と言った。


「いつも通りの君が好きなだけだよ」

「…ハンバーグでいいの」

「美味しく作ってね」
















(好きなのには変わりないさ)

























101206
カノン様リク:折原で甘 でした。
甘いな…超絶甘いな…こんなのでよろしければ^p^
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