「あ、白髪はっけーん。」

「どこ?」

「こーこ。」

「抜いて。」

「あれ、いいの?抜くと増えるって言わなーい?」

「気にしない。」

「ふぅん。」

「った」

「はい。」

「うわ、見事に真っ白。」

「苦労すると白髪生えるって言うよねー。」

「気苦労が絶えないもんで。」

「……。」

「……。」

「…でもさ、」

「うん?」

「どーせ白髪生えるならさ、おじいちゃんやおばあちゃん夫婦みたいに幸せいっぱいで生えたいよね。」

「そうだね。」

「でしょ?」

「……。」

「……。」

「………。」

「あー……っと、だから、さ、」

「…?」

「俺様と、そんなおじいちゃんおばあちゃんにならないー?なーんて…」

「……なにそれ、プロポーズ?」

「あは、一応。」

「いっぱしに稼げるようになってから言いなさいよ。」

「うわ、ひっでぇの。」

「私に気苦労で頭真っ白にさせる気?」

「ん、ごめん。」

「いつもいつもフラフラして。」

「うん。」

「ちっとも定職つかないし。」

「うん。」

「安月給だし。」

「うん。」

「主夫なんて…認めないんだから。」

「うん。」

「……。」

「……。」

「…指輪は、」

「ん?」

「指輪は、給料三ヶ月分で、許す。」

「あは、いいの?俺様の給料三ヶ月分なんてたかが知れてるよ?」

「いい…。」

「ねぇ、なまえちゃん、」

「っ…なに、」

「泣いてる?」

「泣いてなんか…ない。」

「ほんと?」

「泣くわけないじゃない……アンタみたいな…男にっ…!」

「うん。そうだね。じゃあ……



涙は結婚式までとっといて。



それまでにいい男になって、幸せすぎて泣かせてあげる。



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