夕日差し込む教室。
昼間の騒がしさなど嘘のよう。
終業を迎え家に帰った者、塾へ向かった者、はたや遊びに行った者。
きっとまちまちであろうが、とりあえず今、教室には私とこの男、ラディッツしかいない。
残っていると言ってもお互い談笑するわけでもなく、ただ黙ってペンを走らせるだけ。

一段落つき、ずっと走らせていたペンを置き伸びをした。
ギシリと軋む椅子の音。
時計を見れば時間は随分と過ぎていた。
きっともうすぐ夜が来る。
右斜め前に座るラディッツを見ればまだペンを走らせていた。


「ラディ、そろそろ帰らない?」

「おー…」


間抜けな生返事。
多分まだ終わらないだろう。

すっかり集中力の切れた私は手持ち無沙汰に参考書をパラパラと捲る。
そういえば問題を解いていて、わからないところがあったな。
鞄から付箋を取り出し、参考書と問題集にマーキング。
決して、すぐ近くにいるラディッツには質問をしない。
だって使用しているソレが違うのだから。


「公務員ってなるの大変そうだね。」

「なまえの大学受験だって変わらないだろ。」


私はこのツライ受験期を過ぎればまた4年間の学生生活があるけれど、ラディッツにはそれがない。
私にとってそうじゃなくても、ラディッツにとっては最後の学生生活。
その最後の年が、まともに学校行事に参加することなく、ただ勉強して終わるだなんて寂しいものだ。
でもそれを、ラディッツが望んだのなら仕方ない。


「俺が公務員になって、なまえが大学合格したら、祝いに俺の初給料でどっか食いに行くか。」

「止めときなって。初給料は家族の為に使いなよ。」


私とラディッツは同じ年なのに、来年は私はまだ学生で、ラディッツはもう社会人になっちゃうんだね。
それって、ちょっとだけ寂しいね。


「そのかわり、ラディが仕事覚えて私に後輩ができた頃、一緒に飲みに行こうよ。」



ラディッツは振り向いて、「そうだな。」ってニッコリ笑った。
それにつられ、私も少し笑った。


明日の夢


道は違えど、

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