「銀さんは一体どんな怪物になりたいの?」

私の唐突な質問に、銀さんは面をくらったようだった。(銀さんでもそんな顔、するんだ、)
でもそれも一瞬で、すぐに「急にどうした」と笑って、何事もないかのように煙草に火をつけた。


「だって私、でっかい翼と牙を持った動物なんて知らないもの。」


それほど私の返答が面白かったのか、今度は声を出して銀さんは笑った。


「なまえよ、俺は俺自身という化物になるんだ。」
「銀さん自身?」
「あぁ。この日本を食い物にする化物さ。この化物にゃ、翼と、そしてなまえが必要なんだ。」


そう言い、銀さんは笑ったが、私には実感がなかった。


平井銀二という日本を飲み込む怪物には翼がある。
森田くんがその翼だとしたら、私は銀さんにとっての何なのだろうか。
銀さんは私の事を必要だと言ってくれたが、私のやっていることなど、森田くんや安田さん、巽さんに比べたら安い仕事だ。
いわば事務の延長。データ処理。誰だってできる。私はこの人の何にだってなっていない。


「なまえ?」

そっと銀さんに近づき、ソファーに座っている銀さんの膝の上に大胆にも股がった。
煙草の煙がゆらゆらと揺れて、その煙草を取り、灰皿に押しつける。
煙草が無くなり、寂しくなった口に代わりに自分の唇を重ねる。
銀さんは特に抵抗は示さない。
されるがまま、私が舌を差し込むとそれに答える。
角度を変えて、深く、そして啄む様なキスをした。
そっとスラックスごしに局部に触れると、しっかりと硬くなっていて、撫でるように自身に触れれば、銀さんの肩かぴくりと震えた。


「……そんながっついてどうした…?」
「銀さんの事考えたら濡れちゃったんだもん。」


派手なシャツのボタンを外し胸に吸い付くと、今度は銀さんが私の頭を撫でた。
上目に様子を伺うと、欲情的な視線とかち合う。
私は少し笑って、銀さんのベルトを外しジッパーを下ろした。


キメラ

尻尾でも振ろうか、

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