※エピソード・オブ・バーダック後ストーリー
















夢を、見た。


久々にいい夢を見た。
















目を開けると辺りは薄暗く、朝なのか夕方なのか皆目検討がつかない。
一層薫る草土の香りと、忙しく地面を叩く水音から、どうやら雨が降ってるいるらしい。
住処にしてる洞窟から出て確認しようとも思ったが、気だるさが勝り、結局上げた腰を下ろしてしまった。
鬱々とした雨が、重い頭を益々重くさせてるようで気だるい。



『バーダック、』



いい夢をみた。
なまえが俺の名を紡ぐ。
ただそれだけの、夢。
それで十分だった。


故郷消滅に伴い、なまえと死別してどれほどだろうか。
最後に会話をしたのは昔のように感じて、だが昔なのは俺の方で。
俺は相変わらず過去にすっ飛ばされたまま。
現実世界に戻れぬまま、ただ無様に生きている。


チルドの奴をぶっ飛ばしても、未だに観る悪夢に変化はない。
俺は決して、フリーザを倒せていなかった。
妙なもんだ。こうして俺は問題なく生きてるのに、お前はもういないんだ。

嗚呼もし戻れるならフリーザと対峙する前までに。
そしてお前との平穏な日々をもう一度。
今度こそはうまくいくはず、なぜなら俺はお前を守る力を手に入れたのだから。
それなのに、漸くフリーザの奴を倒す力を手に入れたと言うのに、俺は時空空間という絶対的に抗えない力の前に平伏すしかなかった。
いつまでたっても、俺は無力だ。
情けねぇ。
なぁ俺、情けねぇよ。


「っ………なまえ…」


こんな俺を見て、なまえはなんて思うだろうか。
女々しいって、怒るだろうか。
いっそ嫌ってくれないか。
そしてどうか軽蔑してくれ。

それでも、それでも、




世界は俺達を救わない



それでもただ、馬鹿の一つ覚えみたいに、ひたすらお前に愛を呟く、



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