「でも俺は、その1/2でも2/3でも、なまえの事が知りたいと思う。」
それは予想を反した言葉でした。
「何故ですか?」
「知りたいと思うのに理由は必要なのか?」
「普通必要でしょう。」
どうもこの方は合理性に欠ける。
無茶苦茶と言うか、まるで子供みたいだ。
だから私は貴方様と話をするのが好きではないのです。
実に面倒だ。
私は溜息をつき、フと視線を落としますと、黄身を潰すだけ潰してまだ一度も手がつけられていない目玉焼きが目に入りました。
ただ、ちょっとした気まぐれなのです。
「…別に大した事ではないんです。
別段好きでも嫌いでもないので、別に文句を言うつもりではないんですけど…。」
私の話の切り出しを疑問に思ったのでしょう。
貴方様は頭上に疑問符を浮かべ、首を傾げて次の言葉を待っていました。
「本当は目玉焼きより、スクランブルエッグの方が好きなんです。」
そう言いますと、貴方様は黄身がぐちゃぐちゃになっているのもお構いなく、私の目玉焼きが乗ったお皿を取り上げますと、自分の、まだ一度も手をつけていないスクランブルエッグとを交換しました。
そして、私の顔を見つめて、ニカッと笑うのです。
それがあまりにも嬉しそうだったので、私もつられて少し笑いました。
パーセント
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