「…え?」

3年間、何度も頭の中でシミレーションしていきた。
ただ現実になっただけ、だ。

つい先程まで感動で少しくしゃりとした表情をしていたのに、私の言葉を聞き、氷が張り付いたように表情を強張らせた。
ただ私の向ける銃口を、信じられないといった表情で直視していた。

「我が船長の名誉の為、ポートガス、貴方には死んでもらいます。」
「は……船長って…」
「自ら定めた船長の為に命賭けるのが部下ってもんデショ?」
「……!お前…っ!!」

私の言っている意味を理解したのか、彼の顔は怒りにも似た表情で染まっていった。

「どうして海賊なんかになりやがった!?」
「貴方が海賊だったからよ。」

そう、3年前、貴方は海賊だった。
私は、町娘だった。

3年前、私の居る島にやってきた貴方。
わずかだったけど、共に過ごした5日間。
そして貴方はさよならも言わずに行ってしまったの。
ただ私に寂しさを残して…。

貴方はズルかった。
お陰で私は苦しんだ。会いたいのに会えないもどかしさ。
町娘の私にできる事と言えば、貴方がもう一度この島に来る事を願い、ただひたすら待っている事だけだった。
でも、貴方がもう一度この島に来る可能性は低かった。
それに、私がじっとしていられなかった。
あてもなく待ち続けるなんて、気が狂いそうだった。
いっそ忘れてしまいたかった。
でも忘れられなかった。
貴方の存在は私の中で大きすぎた。

そして私は決心をしたと同時に、一つの賭けをした。


『エース、貴方を探しに行こう。』


じっとしているより何か行動を起こしている方が楽だったし、何より、そっちの方が会える確立が高いと思った。

でもこれにはひとつ問題があった。
残念な事に、一介の町娘に航海術なんて持っていないものだ。
単身で海へ出る事ができなかった。

だから私は海賊になったのだ。
ちょうど島に停泊していた海賊に仲間に入れてもらい、大海原へと出ていった。
私を仲間として迎え入れた海賊を『乗り物』にするという魂胆で。

構わなかった。貴方に一目会えるなら。
海賊になっても、賊に成り下がっても、犯罪者になっても、


「敵同士、会ったからには勝負ってのが当然でしょう?」



たとえ再会が残酷なものにしかならなくても。



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