暴露大会



「……埋めてくる」

「い、イエッサー…」


 平城真也が見事に場をおさめた。過程を説明するならば、まず沙弥が冷泉恭真のストーカーであるマイクに目眩をしつつも近づき、まずは友達になってからと話しかけたのだ。ちなみに、田村沙弥は自分から友達になる前に自然的に周囲に人が集まるタイプだ。そして、彼女からいく場合はもはやナンパに近い。


『そ、そのお姿。個性的でインパクトがあって凄いと思います。あの……マイクさんは……』
『コノコキョウマトワタシノコニシマース!』
『あぎゃ!!』
『沙弥に触んな〇〇〇野郎がぁあああああ!!』


 と、平城真也がキレて二人をボコボコにしたわけだった。ついでとばかりにグリコまで殴った彼は、やはり残虐非道の三Kと謳われた姉の血を引き継いでるとしか思えない。


「…………使えるかも」
「! つっ、あ、の! え……いや、あの! え、あれ……?」


 この場に冷泉恭真が来たなら、自分達の居る意味というか、情報は聞き出せない。とりあえずおっさんでオカマで汚ならしいものが嫌いだと中原歩実に伝えればいい話だ。
 しかし、田村沙弥は風葵の発言に感情のままに何かを訴えようとしていた。風葵の発言はただ「荷物もち又はボディーガードとして使える」という意味で言ったつもりだが、どうも語弊を含んだように聞こえたようで、田村沙弥は慌てて平城真也を追いかける。残された竹松伊織は、ただの好奇心でこの場に残った。


「ふぅ、平城君のお陰で助かったね……ところで、君達は何でここに居るの?」

「お前に興味があったからだ。冷泉恭真」


 竹松伊織の探求心は幼稚園児のようなものだからこそ、あらゆる発明ができた。ほとんど失敗作としてもだ。
 この場に居る冷泉紫苑、その父、恭真。冷泉恭真の恋人だろう桜木風葵。そして、モデルの九条あみ。
 全員が全員、やはり異質な感じが感じられた。それは長年の研究のせいか分からないが、その異質を一番感じる人間は冷泉恭真。その次に、異質なのは……。


「九条あみと言ったか。
 お前は、何を持っている?」
「……は?」

「私は、分からないことがこの世に多すぎる。それを鼻で笑うあの愚かな男とは違う。世の中は知らないことがたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんある。私達は知らないことが多すぎる。その私の知らない事柄、お前は知っているのか?
 もう一度言う。お前は……人間とは違い、何を持っている?」


 気になるだけだった。
 いつの間にか、九条あみの細い手首を握っていた。端目恐喝してるようにも見えない。
 お気に入りが目の前で狂気の含んだ科学者の餌にされそうな姿を見て、冷泉恭真が黙ってはいないはずだった。

 はずだったんだ。


「シィイイイイインンンンンン!! お姉ちゃんが助けに来たよ!! おいテメーらシンに何かさらしてんじゃねーだろーなコラァア!!
 って、クソ伊織じゃん。シンは?」


 完全に武者装備した三Kが登場した。呆気にとられる冷泉親子にモデルに超絶美人。ただその中、竹松伊織だけがニヤリと笑みを浮かべ、手を離して立ち上がる。そして、夜美が首を傾げ、呟いた。


「あの可愛い子、水の匂いする。他にも匂うな
 あと、そこのデカミニコンビ。顔似てるくせに他の匂いもするね、珍しい
 ん、う……シンとオカマ、血の臭い……こっちか!!」

「おい、夜美。これ読め」

「は? コロコロスニーカー? 何これ意味ふめふぎゃ!」


 コロ“コロス”ニーカーと言ったせいで、赤ん坊サイズになった夜美を回収した竹松伊織はロクに礼も言わずに屋敷を出てしまった。無人になった部屋を支配したのは、静寂だった。


暴露大会


 今郷のトラブルメーカーが口にした言葉は、一体なんだろうね?