「しつれいします。初めまして、名前と申します。今日はわたしのこと指名してくださりありがとうございます。精一杯ご奉仕させていただきますので、どうぞよろしくお願いします」

独歩が店員に案内されてたどり着いた部屋の扉を開くと、イメージしていた通り、あどけなさが残る少し高めな声が聞こえてきた。視線を下にずらすと、お目当ての女の子が正座をして、にこりと微笑んでいる。
かあああっと頬に熱が溜まるのを感じながら、小さく会釈した。これは仕事ではないから、名刺を出す必要もない。これから九十分の間、独歩と名前、二人だけの時間が始まる。






「先にお風呂溜めちゃいますね」

中に案内された独歩は、ラブホテルというよりもレンタルルームと言った方がお似合いであろうこの店の狭さに少し驚きながら、ベッドの上に座っていた。せかせか動いてくれる彼女を横目に、今更ながら本当に大丈夫だろうか?危ない店ではないだろうか?こんなところ、誰かに見られたら……。などと様々な不安を抱えていた。冷や汗が止まらない。

「あの?」

思考しすぎて周りを見れていなかった独歩は、お風呂にお湯を溜めていた少女がいつの間にか隣に居るのにも気が付かずにいた。驚きのあまり声が少し裏返る。

「……っ。あ、な、なに?」
「ふふ、こういうの初めてなんですか?」
「あ、いや、……まあ」
「そうなんですね。わたしも最近ここで働かせてもらっているんです。リードできるように頑張りますね」

下手したら未成年と間違われそうな彼女が笑顔で言う。まあ二十歳になったばかりではあるので、それは当たり前なのだろうが。それでも、ああ、もう、俺はなんて情けないやつなんだ。心の中でため息をつく。改めて意識してみると、彼女はグレーのキャミソールの下には何もつけていなそうであった。
お湯が溜まっていく音と、彼女の声、体温、そして乳房に、思わず唾を思い切り飲み込む。

「ほんとは、お風呂に一緒に入ってから色々サービスするんですけど、お客さん初めてだから、特別ですよ?」

え、と。疑問を発する前に、名前の唇が優しく独歩の唇に触れた。ほんの一秒にも満たなかった時間だが、照れくさそうに微笑んでいる名前の顔を見て、独歩は理性を失いかける。

否、もう失ってしまった。

きゃっ、と小さな悲鳴を上げながら、彼女はこうなることを見透かしていたように、すんなりとベッドに押し倒された。独歩は自分のネクタイを片手で外しながら、名前の唇、首筋、乳房に軽くキスをしていく。その度に彼女から発せられる小さな声にゾクゾクしながら、独歩は一心に快楽を求める。




20181201






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