ここ最近の感想。 人に避けられるというのは、思っていたよりも悲しくなるものだ。 誰にかというと言わずもがな、白石である。 私もちょっとやったことあるから言えないけど。っていうか、若干私も避けてる。 謙也はなんとかして仲直りさせようとしてくれてるけど、そんなのに乗っかる私じゃない。私だって私なりに考えた上でああなったのだ。 まあだから、いまだ白石とは喧嘩?うん、喧嘩中だった。 だからもちろん私は部活が終わるのを待ったりせず家に直帰してたわけだ。 しかし家で鞄を開けてから気づいた。 中身がない。 なんか軽いとは思ったけどまさか空っぽだなんて。 財布やら宿題やらを学校に置きっぱなしということだ。 どっちも今日ないと困る。 仕方なく私は手ぶらのまま学校に向かった。 学校に着くと、テニス部が練習をしていた。当たり前だ。 どうしてもコートからは入るのが見えてしまう。別にやましいことではないけどなんとなく見つかりたくなくて、白石が部室に入った瞬間を狙って校舎へと走った。 謙也が手を振るのが見えたけ気づかないふりをする。そんな暇ないからごめんよ。 教室まで走ると、結構息切れが酷かった。日頃の運動不足がたたったんだきっと。 少し休もうと椅子に座ってみる。外から部活をやっている人達の声が聞こえた。 なんとなく立ち上がってテニス部を見ると、白石が何か指示を出しているらしかった。 久しぶりに見るなあ。 しばらくぼーっと眺めていると、突然白石がこっちを見た。焦ってしゃがんだけど、別に私に気づいたわけじゃないだろう。気づくわけない。でもびっくりした。 そして思う。やっぱり私は白石ばかりを見ていた。財前に言われたときは特に意識もしてなかった。好きになるわけなんてないと思ってた。だけどそれは否定したかっただけかもしれない。 この間謙也にああ言ったのも、本当は。 しゃがんだまま結構な時間が経っていた気がしたけど、3分も経っていなかった。しかし運動不足の私には太股に多大な負担がかかっていたので、勢いよく立ち上がる。 もう一度コートを見ると、白石がいなかった。 別に気にならないし、と自分でも無理がある言い訳をして鞄に忘れていた物を詰める。携帯も置きっぱなしだった。何やってるんだ。 もう忘れ物はないかと、机の中を覗き込む。テストの答案が丸まっていた。手を突っ込んで取り出すと、ほっとけば良かったと思う点数で、ぐしゃっと丸めて鞄に入れた。 よし、帰ろう。 立ち上がると、廊下をバタバタと走る音がする。うるさいなあと振り返った瞬間、教室の扉が開いた。 そこに白石が立っていた。 「……名前」 突然のことに固まったままの私を見て、白石は何か躊躇ったあとで私を呼んだ。 たったそれだけのことで心臓が跳ねるけど、それは今に始まったことではないのだ。 本当は、あんな疑念を抱いたのと同じくらいから、ずっと白石のことが好きだった。 101213 |