昨日は外での仕事でトラブってしまって本部へ戻れなかった

美織がイタリアへ来てから3年が経つけど出張以外で帰宅できなかったのは初めてかもしれない



「美織、心配してるかな……」


彼女は少し心が弱い
というのも家庭環境が原因らしいのだが、何か精神的に負担がかかってしまうとすぐに自分の殻へと篭ってしまう



「落ち込んでないといいんだけど……、早く帰ろう」





ーーーーー





やっと本部に着いた
少し道が混んでいて2時間のところが3時間半もかかってしまった

車を停め、屋敷へと繋がる扉に近づけば向こうから誰かが扉を開けた



「あ、リボーン」
「ツナか。遅ェぞ何チンタラやってたんだ」
「そんな辛辣な」
「今から俺も出るから、守護者たちも留守だぞ」
「わかった。気をつけてね」



誰に言ってんだダメツナ、と最後に暴言を落としてリボーンは愛車に向かった

相変わらずだなーほんと。
少しぐらい、俺も成長したって認めてくれよ。



「仕事も一段落したし、美織に癒されにいこう!久しぶりに2人でランチ……はダメか。俺しかいないもんな」



むふふ、と頬が緩みきっていたけれど、それくらい許してほしい
こちとら4日もほぼ徹夜で仕事してきたんだ!!



ーーズガァン!!



「!?」



完全に気が緩んでいた俺を正すように銃声が響いた

敵か!?いやリボーンがさっきまでいたんだ、それは有り得ないか……
いやでもそれなら何故”屋敷内”から銃声が聞こえたんだ?

Xグローブをはめ、1階から順に回っていくと前から部下が走ってきた



「ボ、ボスッ!!」
「どうした、敵襲か?」
「ちちち違うんです!!美織様が……っ!」



部下の口から俺の愛する人の名前が出てきた

俺は思わずカッとしてしまい部下の両肩を掴み、殺気を浴びせてしまうが今はそんなこと構っていられない



「美織様が自分の頭に銃を撃ったんです……!!」
「!?っ、くそ!!!」



それを聞いた瞬間、俺は屋敷内にも関わらずXグローブで炎を放ち空を飛ぶ
走るよりもこれの方が早い

美織、美織、美織……っ!!!



「無事でいてくれ!!!」



執務室に着き乱暴に扉を開けるが誰もいない

そのまま寝室へと繋がる扉を開けると美織が血溜まりの中に倒れていた



「っ美織!!!」



急いで彼女の元へ走り血が付くのも気にせず抱き上げてみるがダラリと腕は落ちたまま

くそっ!!なんでこんなことしたんだ!!!


「美織!美織起きろ!目を……っ、目を開けてくれよ……!!」



ピクリともしない重たく閉じた双眸の瞼

なんで自分で撃ったんだよ!!
何があったんだよ!!!

そこで一つの解に結びつく



「まさか……俺が遅かったりしたから、?美織にっ、お前に嘘をついたからかよ……!」



恐らく、これが答えだろう

美織は酷く傷つきやすい
そんなこと分かってた
分かっていたが、驕っていた

美織、ごめん。本当にごめん
こんなことしく言えない俺を許してくれ

……いや、許さなくていい



「起きて俺を怒ってぶん殴ってくれよ!!起きてよ……美織っ!」



そうこうしているうちに部下がシャマルを連れてきた

シャマルは美織の手首の脈を測るが静かに首を横に振った



「……なん、で……だよ…………っ!!」



俺の言葉は静かに空気に溶けていった








この想いが終わるとき
< 気付いてやれなくてごめん >


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