いつまでリボーンに抱きついているんだと言わんばかりに此方を見ている十代目様
なんだか視線がいつもより痛い気がするのですが……



「ティア嬢は意外と甘えん坊かな」
「そ、そんなことはないですよ!」
「さあティア!」
「うっ。その広げた両手は一体……?」
「おや?遠慮せずともいいんですよ、僕とティアの仲でしょう」
「いいえ。私と骸くんの仲は抱き着くようなものではありません」
「グフッ」
「邪魔だよ?骸」



おっと、十代目様が両手を広げて待ち構えていた骸くんの頭を引っ掴んで壁の方に投げてしまいました
流石に心配になるのですが……、大丈夫でしょうか
ゴツンという優しい音の割に壁にヒビが入っていませんか?



「二人で外出するの?」
「そのつもりだが」
「一応アヤカも女性なんだし、女二人っていうのは危なくない?俺も行くよ」
「お前はダメだぞ。どんだけ仕事を溜め込んでると思ってんだ」
「そんなの後でもいいじゃん」
「うるせェ、さっさと書類に判を押してきやがれ」
「チッ。なんだよ、ったく」
「リボーン様は?お仕事ですか?」
「俺も今から仕事だ」
「そう、ですか……。折角だから一緒に行きたかったんですけど、残念ですね」



次に行く時は一緒に行ってくれますか?と聞けば頭を撫でてそのまま部屋から出ていった

了承と受け取っていいのでしょうか……

ボーッとリボーン様が出ていった扉を見つめたままでいれば壁にぶつかっていた骸くんが私とアヤカ様のところに戻ってきていた

いつの間に……
骸くんはしぶといと以前リボーン様から伺っていましたが、さっき壁にヒビを入れる程強くぶつかっていましたよね?



「クフフ。それなら僕が一緒に行きましょう」
「骸くんが?」
「ええ。先程任務が終わり報告書を提出したばかりでして、今日は一日休暇なんですよ」
「骸だと心配なんだけど、綱吉」
「俺も」
「なんですかそこの二人!僕のどこに心配する要素があるというのです」
「「全部」」
「全く失礼ですね。ティアは僕と一緒に行きたいですよね?」
「うーん、どっちでも……。アヤカ様と二人でも大丈夫な気もしますので」
「ティアまで!本当に僕の扱いが酷いです」



ズンズンと詰め寄られてしまい思わず目を逸らす

骸くんの瞳はいつ見ても綺麗だから、なんだか色々と見透かされてしまうような気がして……間近で目を合わせたくないんです



「ハァ。もういいです、僕は自室に戻ります」
「じゃあ私はティア嬢とデートに行くとするよ」
「デートじゃないだろ!……俺も書類終わったら行くから、どこに行ってるのか連絡入れろよ」
「リボーンに怒られるぞ?」
「別に仕事終わってからならいいだろ!」
「十代目様も来てくださるのですか?楽しみですね!」



◇ ◇ ◇





本部から出る途中にカレン様をお見かけしたので一緒に買い物はどうかと尋ねれば、行くと言ってくださったのでアヤカ様が運転する車でこの辺りで一番大きなショッピングモールに連れていってくれました



「すごい……っ!」
「さ、どこから見てまわろうか」
「何でもいいです!カレン様は行きたいところはありますか?」
「わ、私は……とりあえず洋服を」
「じゃあお洋服を見に行きましょう!」「はしゃいでるなぁ、迷子になるなよ?」
「えへへ、お出掛けをするのが初めてなので……。迷子にはならないように気をつけます!」



私の”初めて”という言葉に反応して目を見開く御二方
まあ、普通は27歳ともなれば一人でお買い物くらいはしますよね



「買い物に出るのが初めてなのかい?」
「そうなんです」
「まぁ。珍しいですね。お買い物が好きではない……とか?」
「あ、いえ!そういう訳ではなく、外出自体が初めてと言いますか……自分の屋敷から出たことがなくて……」



えへへと笑うがどこか重い空気が漂ってしまった
重い話でもないので申し訳なく思い、話題を変える為に辺りを見回せばよく目にしたモノを見つけた



「あれは……!」
「気になるのかい」
「いっ、し、り…あいの、おじ様が、よく買ってきてくれたものなんです」
「へぇ。美味しいよねここのクレープ。今も10人は並んでるし人気店だよ」
「そうなんですか!じゃあいつも態々並んでくれてたのですね。次に会った時にお礼を言わないと!」




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