朝六時起床。それからシャワーを浴びて軽めの朝食を摂ってからスーツに着替えて仕事へ出る。それがゾロの朝の日課だ。
「あっ、ゾロおはよう」
「…」
翌日もいつも通りシャワーを浴びてリビングへ戻ると、そこにはもうルフィが制服姿でいて驚いた。いつもなら遅刻寸前ギリギリまで布団に包まっているのだが。
「…今日は早いんだな」
「だろ?今日は早起きだ」
「風邪は治ったのか」
「おかげさまで」
そう言ってルフィはダイニングのソファーに腰かけてテレビをつけた。いくつかチャンネルを回すがどこもニュースしかやっていない。朝って何もやってねえのなあ、とルフィはつまらなそうな顔をして結局電源を消した。
すると隣の部屋からのそのそと金髪の男が出てきた。Tシャツの下にトランクス姿で長い白脚を露出させている。眠たそうに頭を掻いて一つ大きく欠伸をすると、ルフィの座るソファに目を移した。ルフィを見た瞬間にすぐにサンジの顔から眠気という文字が消えた。
「今日は早起きじゃねえか」
サンジはそう言いながらソファに近付いた。にやにやと笑った顔が下品極まりない。
「あ、サンジ、おはよう」
「風邪はいいのかい少年」
「ん!この通り元気だ!」
力瘤を作って見せたルフィに「良かったな」と彼の頭を撫でて、男はキッチンへと足を運んだ。そしてゾロにお前飯どうすんの、と何とも無愛想に聞いた。ルフィとのあからさまな態度の違いに少し腹が立ってゾロはいらねえとだけ答えた。
「そういえばよ」
サンジが小声で言葉を続けたので、ゾロは返事をする代わりにそっと彼の方に首を傾けた。
「ウソップが海行けねえんだとよ」
「何でっ!」
ゾロが反応する前にルフィの声が後ろからぐわっと響いた。サンジはルフィに聞こえないようにゾロに話していたつもりだったようだが、無意味だったらしい。
「みんなで行くつったじゃねえか!」
「んーだからな、お盆はバイトが休めないみたいでな」
サンジの言葉にルフィはぶんぶんと首を横に振った。
「ウソップが行けねえならお盆はやめだ!」
そう言って彼はずかずかとウソップの部屋に入り、「お盆の海はやめだ!」とまだ寝てるであろうウソップの耳元めがけて喚いた。それを何度か繰り返すと、流石に耐えられなくなったのか、ウソップは泣く泣くベッドから起き上がって、うるせえよと一発ルフィの頭を殴った。

「お盆の海はやめだ」
「その台詞な何回も聞いたっつの。何日に行くかって聞いてんだよ」
いつもより何時間も早く起きることになってしまったウソップはいつもより不機嫌そうに顔を歪めている。
「そもそもお前は皆と一緒に行けないといやなんだろ?」
「おう」
「じゃあ四人の休みが合う日じゃないとだめだろ。お前は部活のない日、俺はバイトのない日、ゾロは仕事が休みの日、サンジは…」
ウソップはサンジの方を見た。サンジは吸っていた煙草を灰皿に押し付けて、俺はいつでもと返した。
「…じゃあ三人の予定が合う日だな」
「よしじゃあ明日行こう」
「お前はちょっと黙ってろ」
ウソップにぴしゃりと言われルフィは深く肩を落とした。ウソップの独断の結果、ゾロが仕事を休める日は土日しかないということで、ルフィは部活をウソップはバイトをその日は休むことにして、日にちは今週の日曜日になった。ゾロはそれが決まったところで仕事へ出て行き、ウソップもバイトの支度をし始めた。ルフィはただ一人海だ海だと楽しそうにソファの上で跳ねていた。


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