どんなに容姿端麗な男に抱かれてもおれは惹かれることなどなかった。というより育った環境からなのかまともな恋さえしたことがなかったから、今の自分が彼へ抱いているこの感情が恋というものなのか正確には定かでない。それでも、俺の中の彼は溢れかえる金鶴の男達とは一味も二味も違った。あれからというもの片時も彼が俺の頭の中から離れてはくれない。誰でもいい教えてほしい、恋というのは何なのか、これが恋でなかったら何が「恋」なのか。

おれはあの日を境に、今まで住んでいたオンボロアパートからシャンクスの家に転がり込んだ。彼の家は高級マンションの一室で一人で住むには十分すぎる家屋だった。
衣類やその他必要な物は全て彼に賄ってもらった。食費に加え学費まで世話になり、流石におれは申し訳ない気持ちで一杯になった。しかし、そこまでしなくていいとおれが言えば俺が勝手にしてることだから気にするなと返される。本来ならば押し切らなければいけないところだが、やはりおれは彼に甘えてしまう。だめだなあと自分で思いながらもどうにもできないのは単なるおれのエゴだった。
見違えるぐらい、目に見える全てのものが輝き出したような気がした。おれの人生が変わったと言っても過言ではない。天と地がひっくり返るとはこのことだ。誰がこんなことを予想しただろうか。こんなおれが娑婆の空気を吸えるようになるなんて。
それに、おれはとても嬉しかった。シャンクスと共に同じ屋根の下で暮らせることがとても幸せに感じた。だからやはりおれはシャンクスが好きなのだと思う。それはもう、どうしようもどうしようもなく。

ただ、一つだけ辛いことがある。それはもう身体が握り潰されそうになる程に。
「ルフィ」
後ろから抱き竦められたかと思うと耳元で名前を呼ばれた。床に腰を下ろして見ていたテレビの電源を消して、おれは何、と返事をした。煙草の匂い、酒の匂い、それから上品な香水の匂い、彼の微薫に頭が蕩けてしまいそうだ。シャンクスががぶりとおれの耳端に食らいついた。
「ぃてっ」
「色気ねえな」
彼の唇が耳から首筋を伝って肩口に終着した。そこでまた緩く歯を立てられる。自然と身体に力が籠ってしまう。そんなおれの反応をシャンクスは瞬時に感じ取った。
「ガチガチだな、怖いのか」
「…そんなわけないだろ…」
「いいんだぜたまには、泣いてみろよ、怖いです止めて下さいって」
「だれが言うか…っ、あ」
腰に回されていた彼の手がおれのズボンのベルトを外し始めた。すぐにズボンと下着が脱がされ、おれのペニスが露わになる。シャンクスはそれを手に取ると早急に手を上下に動かし始めた。
「ァっ…、く、ぅっ…」
「お前今日も授業寝てたろ」
「ぅあ、ゃ、だって、…昨日遅くまで、ひぅっ」
「言い訳するな。こうなることは分かってんだろ」
学習しろよ、シャンクスがどんどんおれを追い詰める。どんどんおれ自身が硬く熱くなっていくのが分かって恥ずかしい。おれは敷いてあった絨毯を握り締めて、射精感を訴えた。
「いっ、く、ぁ、アッ、しゃんく、すっ…」
「全くお前は本当に早漏だな、ちょっと擦っただけだろう」
「あッ、ああ…っ!」
びゅっ、とおれの先端部から白い液体が溢れ出た。後ろでシャンクスのベルトを外す音が聞こえた。がたんと床に押し付けられる。ああまたくる、おれは歯を食いしばってより一層絨毯をきつく握った。

好きだという言葉はなかった。それでもシャンクスは何かあるといつもおれを抱いた。最初は素直に嬉しかったが、だんだんエスカレートしていき最近では毎日のように彼はおれを貪った。シャンクスには本当に感謝しているしこれ以上わがままも言えないのは分かっている。だからおれから「好きだ」なんて到底言えるものではなかった。でも、苦しかった。これじゃあ売春していた今までと変わらない。

「ひうっ」
脳が揺れる。動悸が激しい。熱い熱い熱い熱い。内臓が串刺しにされたようだ。彼が、容赦なく、おれの、中に
「シャンクスっ…!」
ぎゅっと固く目を瞑ると、涙が頬を伝った。


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