おれの通う高校は都内のしがない普通高校だ。屋上はあるが高いフェンスに囲まれている。学力も平均的で何一つ特化したものもない地味な高校である。
今日もいつも通り一限開始直前の時間に登校する。昨日の男からされた中出しの所為で至極身体が気怠いが、学校を休むわけにもいかない。
教室に入ると、開口一番担任に「今すぐ生徒指導室に行け」と指を差された。おれはいきなりの出来事にぎょっと面食らった。生徒指導室に連れて行かれるのは問題児か不登校児だけだと思っていたが、しかしそういえばおれも売春という悪質なバイトをしているれっきとした問題児だ。(あまりそういうことは考えないようにしていたのだが。)おれはいつになく素直に首を縦に振って、校舎の別棟の最上階にある生徒指導室へ向かった。
教室につくとおれはノックもせずに戸を開けた。そこには赤髪のスーツをゆるく着た教師が椅子に腰掛けていた。
「ノックぐらいしねえか」
彼はおれを一瞥して低く重い声で言った。おれは矢張り何も言わず、彼と向かい合うようにして机を挟んで椅子に座った。
この男はシャンクスといったか。泣く子も黙る鬼のこの高校の生徒課長だ。優秀な者には多大な評価を、悪党な者には重度の罰を下す、とまあ一番敵に回したら厄介な教師で有名なわけで、どんな問題児でもこの教師を前にすれば赤子のように泣き出し従順になると聞いたことがあるが、確かなところは分からない。何せおれも顔を合わせたのはこれが初めてだ。
「何で呼ばれたか分かるか」
さあ、とおれが首を傾げるとシャンクスは呆れ顔をした。それから彼は手元の名簿に目を落とした。
「昨日ラブホ街でお前を見たとPTAから連絡があってな」
予想通りの言葉だったが、それでも少しどきりと心臓が跳ねた。
「まあはっきりとは断定できないんだが」
「ふーん」
「念のために聞くが、お前昨日学校終わったら何してた」
「オジサンとセックスしてた」
教室がしんと一瞬凍りついた気がした。そしてすぐシャンクスの深いため息が聞こえる。
「金貰ってんのか」
「当たり前だろ」
すると「何故そんなことを」と言いたそうな顔を彼はした。しかし聞かないのは既に理由が分かっているからだろう。高校生が好き好んで見ず知らずの人間とセックスなんてするものか。皆金欲しさのために苦し紛れに股を開いているのだ。
「…話はそんだけ?」
「もうそんなことをするのは辞めろ」
「冗談。おれが餓死してもいいのか?」
「餓死する前に性病で死ぬぞ」
「それならそれでいいよ」
するとシャンクスは痺れを切らしたように立ち上がった。何をするのかと思うと、おれの背後に周り大きな音を立てて机におれを組み敷いた。椅子がバタンと倒れる。ねじ伏せられた手首が痛い。頭を机に押し付けられ彼の顔は見ることはできなかったが、きっとえらく怖い顔をしていただろう。
「言葉で言っても分んねえなら実力行使だな」
シャンクスはそう言って慣れた手つきでおれの服を脱がし始めた。


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