兄が好きだった。その感情は異性に抱くような恋愛感情と似ていた。兄を思うと胸のらへんが締め付けられるように苦しくなって悲しくなる。

「エー…ス、うぁッ!」
目の前の兄は気持ち良さそうに目を閉じて眠っている。海楼石の手錠に繋がれた手を伸ばしたが兄の身体には届かなかった。代わりに背後から男に尻を突かれた。反動で木の床で額を思い切り擦った。腰骨に爪がぎりぎりと立てられる。
「あんまりでかい声で喘いでたらエースが起きちゃうぜ?」
頭上で挑発的な声が聞こえた。しかし男は腰の動きをやめない。明らかにおれを喘がそうとして前立腺をしつこく攻め立ててくる。
「ぅ、ぁア、あっ」
「締まりのねえ口だよい」
もう一人の男がおれの目の前に来て兄を隠した。そして顎を持って口に太い男根を押し込んできた。声が漏れないようにと栓をしているつもりなのだろうか。

どうしてこんなことになったのだろう。おれは混濁し続ける頭の中で記憶を遡ってみたが何も思い出すことができない。ここがどこかも知らない。エースが目の前にいて安心したのも束の間の出来事だった。
先程何か錠剤を飲まされた気がしたから、きっともう少しでおれは気を失ってもしかしたら死んでしまうのかもしれない。あの薬を飲んでから身体の体温が一向に下がる気配を示さない。
もう何が何だかわからない。これは男にくわえ家族に恋をしたおれへの咎めなのか?

「ーっ…、ぁぅ、んぐぅ」
後ろの男のものが前立腺を通り越して奥へと進みだした。その獰猛さは優しさは愚か丁寧さも慎重さもない。不意に後ろの男におれの下半身に誇張する小さな自身を握られて、意識が吹っ飛ぶかと思った。一発触発状態だったそこは、男に触れられた瞬間ばちんと爆発したように弾けた。
「あっ―…ア゙ぁッ!」
首を伸ばしておれは男の手の内の精液を吐き出した。ひぃ、ひぃと呼吸をしながら射精後の倦怠感を味わう。しかしおれのそれはまだ勃ち上がったままだった。
「ぅ、…、ひぃ、ぁぅ」
「さすが若いのは薬との適合具合も申し分ねえな」
「お前ばかり良い思いをするなサッチ。早いとこ代われよい」
目の前の男が少し前屈みになると、おれの口から男のそれが零れ落ちた。先端のぬめりが口許や顎を汚す。荒く呼吸をして頭を落ちつかせようとしたのも束の間、男に両頬を掴まれまた喉の奥まで太い根を突っ込まれた。
「んんっ、ん、んぇ」
そのまま頭を前後に動かされ、おれの意思も関係なしに口内で男の陰茎の出し入れが繰り返された。それに後ろの男から与えられる律動が加わり、意識が遠くなっていくのを感じた。乱暴に性器を扱かれておれはまた射精感に煽られた。
「ぅ、ぁ、―んひぃ!ぁあっ!」
激しい二人の突き上げにとうとうおれは二度目の射精をした。それと同時に口と尻の最奥に男二人の熱いしぶきが注がれた。白い汁をお見舞いされたおれをみて後ろの男はほくそ笑むように、おれの耳に口を近づけた。
「お前のこんな姿、お兄ちゃんが見たらどう思うだろうなあ?」
「―っ!」
男の言葉におれは息を呑んだ。
「お薬飲まされて男二人に凌辱されてよがって二回もいっちまったもんなぁ」
―…いやだ、やめてくれ。エースに嫌われたら、軽蔑されたら…そんなこと考えたくない。エースにだけは嫌われたくない。エースに嫌われるなんてこと、男に犯されるより耐えられない。ずっとずっと恋焦がれて、精一杯想ってきたおれの一人の兄ちゃんなのに―…
おれは目の前の男の服をぎゅっと両手で掴んだ。精液が目に入りそうになってもお構いなしにおれは男をじっと見つめて縋り付いた。
「お、お願いだ、言うことなら聞くから、何でも聞くから、だから、だからエースにだけは言わないで…」
おれがそう泣きつくと、男は口角を上げて笑った。達成感に溢れた顔だった。男の脇からちらりと見えたエースは、先程までこちらに顔を向けていた筈だったのにいつの間にか背を向けて床に寝そべっていた。


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