錨を下ろした街の一角にある小さな宿で、ルフィは兄と顔を合わせた。ログがたまるまでここにいればいいと先日その兄エースに紹介された宿だ。
「他の奴らは?」
「みんな自分の部屋で寝てる」
なんせ時刻はもう日付を変えようとしている。
「そうか」
エースはルフィの手を引いてある一室に入った。ダブルベッドが一つ、それにテーブル、ソファ、テレビと実に簡素な部屋だった。そしてルフィは目を見張った。ベッドの上に誰か座っている。
「よう、麦わら屋」
目線の先の男はルフィに気が付いてベッドから腰を上げた。徐々に男の顔がはっきりと目に映る。どこかの島で会った外科医だ。
「こっち来いよ」
ローがベッドを指さした。えっと声を出す前にエースに背中を押され、前のめりになってベッドに転げ落ちた。すぐに身体の上にローの身体が重なって身動きがとれなくなった。間髪入れずに服をひん剥かれる。頭上でおいっ、というエースの声が聞こえた。
「ルフィに手荒なマネすんじゃねえ」
「いいじゃねえか。見ろよこの怯えた顔、興奮するだろ」
顎をぐいと持たれたのでルフィは顔を上げた。エースの大人びた顔が視界に飛び込んできた。咄嗟に少し身構えてしまう。
「可愛いな麦わら屋…なんて小さくて柔らかい尻だ」
身体の向きを変えられうつ伏せになると、執拗に尻を揉み下された。何をされている訳でもないのに酷くむず痒い気持ちになる。額をベッドに押し付けると、上からエースの腕が伸びてきて顔を両手で掴まれた。
「顔を見せてくれよルフィ、兄ちゃんとキスしよう」
すぐに兄の薄い唇が押し付けられる。声にならない声を上げると、その口の隙間から舌を突っ込まれた。ざらざらとした感触に視界がぼんやりと滲んだ。
「麦わら屋、可愛い声を聞かせろ…そら、こっちも触ってやろう」
混濁した思考の中で、熱を持ち初めていた自身を握られて背筋が凍った。エースの口が離されて、ローの手が激しく上下に動くと、ルフィの口許からはしたない声がだだ漏れになった。
「ぁ、ん、ぁ…」
「ああ、声だけで抜けそうだ。耐えられんねえ、口を開けろルフィ」
「おいコラ待て、もっと麦わら屋によがらせろ」
先端の割れ目を沿って指の腹や爪で刺激される。痺れる痛みに気を取られていると、別の手で陰嚢を潰されるように握られた。
「ひぃっ、ぁ」
「ここが空になるまで何遍も可愛がってやるからな、麦わら屋」
身体の体温がぐんぐん上昇して顔が火照る。顔を隠そうにもエースに頬を掴まれているため不可能だった。こんな顔誰にも見せたくない、と思うのにルフィはエースと顔を向き合わせながらただ喘いだ。エースは口許から涎が垂れるとすぐに拭ってくれた。
「っ!」
ローの指がルフィ自身を離れて尻の窄まりへと移動した。ルフィは生唾を飲み込んだ。
「好きだ、愛してる…」
熱く蕩けるように聞こえたその声はどちらのものだっただろうか。否、それは二人のものだったかもしれない。ルフィはゆっくりと二人の深い愛に堕ちていった。


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テーマ「人外ファンタジー」
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