小さく俺の名を呼んだ彼の唇が、どんどん水分を失っていく。もうすぐこいつも干乾びてしまうのだろうか。この細い四肢も、いずれは骨になってしまうのだろうか。
やめろ、と彼は声を上げた。しかし俺はそんな彼の弱い拒否反応をも見て見ぬ振りをして、顎を掴んで無理矢理彼の口腔を犯した。乾いた唇を抱擁するように舌を動かす。ぎゅうと彼が俺の服を握り締めるのが分かった。
「ふ」
名残惜しく口を離すと、彼ははしたなく口許から涎を垂らした。涙ぐんだ目を伏せてそれを手の甲で拭うと、すぐにきっと強く俺を睨んだ。きらいだ、彼は唐突に口走った。その言葉の前には「エースなんか」というおまけがついてくるのだろう。俺がすっと彼の身体に手を伸ばすと、すぐに彼は尻を引き摺って後退りした。
「いやだ、くるな」
「許せ」
「やだ、エース、やめ」
かぶりを振った彼を強引にその場に引き倒して、赤いベストのボタンを一つずつ外した。するするとくびれた部分を擦ると、彼は耐えかねるように歯を食いしばった。上半身への愛撫は大概にして、手を下半身に移動させると彼の身体はびくんと大きく反応した。その手が彼の下着の中に侵入すると、彼は信じられないと言う目で俺の手を凝視した。急に刺激を与えるのは可哀想だと思い、俺はやんわりと優しく熱くなった彼自身を握った。途端に高く上擦った声が耳を掠める。
「んひ、ぁあ」
ゆっくりと手を上下に動かす。すぐに芯を持ち始めた彼自身は下着の中で窮屈そうに自己主張し始めた。俺がズボンごと彼の下着を剥ぎ取ると、彼は恥ずかしそうに足を閉じて自身を手で隠した。
「もう、やめてくれ…、おれ」
「恥ずかしがることはないだろ?」
「いや、エースっ、やめろ」
固く閉じた彼の両脚を無理矢理に割って、何の躊躇いもなく股間に顔を埋めた。エースっ、と驚いたように彼は俺の名前を呼んだ。何してんだ、汚い、やめろ、と彼は涙ぐんだ声で訴えた。俺が彼自身を口に含むと、一瞬彼の身体が硬直した。そしてすぐに、息を呑む。
「エース、エ、あ、ぃっ、やだ」
手で裏筋を愛撫しながら口内の舌でしつこく亀頭を刺激した。時にぎゅっと強く彼自身を握ってやれば、より高い嬌声が上がる。
「ひ、ぅっ、あっ、や、ぁあっ」
音を立てて吸い上げると、彼はびくびくと身体を痙攣させて俺の口内に射精した。彼の荒い息つぎが聞こえる。俺は早急に彼自身から顔を離し、代わりに彼の脚をM字に開いて俺自身を彼に宛がった。
「ルフィ」
俺が嫌いか?そう彼に問うと、一瞬虚をつかれたような顔をされた。それから彼は迷ったように目を泳がせた。それが俺にはひどくもどかしくて、俺は彼の答えを待たずに思い切り彼の中に自分を突っ込んだ。彼の内壁の肉が執拗に俺に絡みつく。
「いっ、ぁ、はう、ぁっ」
首を伸ばし顎を天に突き出して彼は痛みに耐えていた。俺の腿に伝う彼の鮮血を目尻に、俺はどんどん彼の奥を突き進んだ。
「えー、す、う、ぁっ、ぁ」
ようやく自身を全て彼に押し込むと、彼の鼓動が激しく波打つのが分かった。ゆっくりと腰を動かす。俺の動きに合わせて過剰に反応する彼が愛らしかった。
「ぁっ、え、ぃあ」
「ルフィ…辛いか」
「いひ、あっ、あっ」
「ご免な、ルフィ」
こんな愛し方しかできなくて。
自然と下肢のスピードが速くなる。彼の限界が近くなる。それは俺も同じだった。どん、と最奥を力任せに抉ると彼は後孔をきつく締め付けた。彼の無言の射精の合図。そろそろ、もうすぐ、ああ、俺も
「ぅあっ、エースっ、え、ああっ」
「ルフィ…」
彼が互いの腹の間で爆ぜた。俺も数秒遅れで彼の中に射精した。ルフィはいつものように気を失って床に身を預けていた。彼から自身を引き抜いた瞬間、言葉では表し難い大きな罪悪感が俺を襲った。水分不足だ、俺は乾ききった自分の唇を舐めた。
俺の内に燃える火がどんどん骨から臓器まで溶かしていっているようだ。それがお前への想いであるように―…


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