夜。皆が寝静まってしまえばこの船はまるで人を変えたように静かになる。そんな中俺は酒でも飲もうかとふらふら食堂に足を踏み入れた。するとそこにはコックの他に、あの船長までいたものだから俺は少し驚いた。あの男がこんな時間まで起きているなんて珍しい。
コックはシンクの前に立ち洗い物をしていた。こちらの存在に気付くと、明らかに嫌そうな顔をした。すぐに「何しに来た」と啖呵を切られる。
「酒飲みに来ただけだ」
そう言いながら、テーブルの長椅子に腰かけていたルフィに目配せする。彼はいつになく神妙な顔つきをしていた。またあの眉毛に飯のお預けでもくらったのだろうか。ルフィ、と俺が声をかける前に、彼がなあと俺に向かって言葉を紡いだ。
それから小さく、犯してくれ、と続けた。俺は一瞬思考が停止した。開いた口が塞がらないとはこのことか。視界の端に見えたコックも、俺と同じような顔をしていた。

「お前、それどういう意味だか分かってんのか?」
俺よりも早く頭の中の整理ができたのか、コックはルフィの隣りに座ると少年の頭上に手を置いた。
「うるさい。船長命令だ」
「質問の答えになってねえよ」
ルフィはコックの言葉を無視して徐にベストを脱ぎ始めた。筋肉がついていながらも華奢な上半身が露わになる。彼はそのままコックに正面から抱きついた。満更でもないコックの顔が憎らしい。
コックがちらりと俺を見てきた。出て行け、と顎で指示される。おいおい、あくまで抱いてくれと言われたのは俺の方だぞ、抱きつかれたくらいでその気になってんじゃえねえ…と内心コックを罵りながらそれが口に出る筈もなく、俺は身体の向きを変え部屋を出て行こうとした。ルフィが他の男に抱かれるのは酷く不快だが、その現場を直接この目で見るよりはマシだ。
するとルフィが「待って」と声を上げた。反動的に振り返ると、顔を紅く染めた少年がこちらを向いていた。ゾロも、と舌っ足らずな口調で俺を誘う。ゾロも抱いてくれよ、と。俺は頭の中が真っ白になった。

「ぁぁっ!」
コックがルフィと抱き合ったまま、己を挿入した。静まり返った船にルフィの喘ぎ声がこだまする。
俺はずっと立ち往生したままだった。現場なぞその場で見るなんてこれ以上の地獄はない、と先程まで思っていたくせにいざその状況に立つと、二人の男から目が離せなくなっていた。
「アっ、…うっ…」
残念ながら、ルフィはこちらに背を向けているので表情を窺うことができない。皮肉にも、コックの興奮しきった顔が見え隠れしているだけだ。
「ぁ、…ァあ、ぞろっ…」
「…おいこらルフィ、仮にもてめえ俺とやってる時は他の男の名前を出すんじゃねえよ」
「ァあっ、…っ、だって」
ゆっくりとルフィがこちらを振り返る。涙と汗で滲んだ目がじっと俺を捉えた。コックがはあ、と溜め息をついた。おいクソマリモ、と声を上げる。
「ルフィの前を相手してやれ。俺一人じゃ不服みてえだ」
そう言うと、コックはルフィの体勢をぐるっと180度回転させ、膝の裏に手を入れ大きく彼の足をこちら向かって開脚させた。ルフィの羞恥が目の前に曝け出される。
「ふ、ァっ…さんじ、やだ…っ…ぁ」
「ん?なら止めちまうか?船長」
「やっ、やだ、やめんなっ…」
ぶんぶんと少年は首を横に振った。
早く、とコックが煩く促す。ポーカーフェイスを気取ってられる余裕もないってか。全く良いザマだ。
俺はゆっくりと二人に近付き、同じように長椅子に跨いで座った。身を屈めて著しく自己主張したルフィのそれを口に含んだ。
「うァ!…っ、ぞろ、っう」
勢い余ってルフィの足に思い切り頬を蹴られた。反射的にルフィを口から離す。俄かに頬が痛い。
「だーいじょうぶだよルフィ、じっとしてればすぐに良くなる、リラックス」
コックがルフィの耳元で囁くも、ルフィの顔色から不安の色は消えない。
「ぅ、ぁ、あ、ぃ…や」
口はだめみたいだな、とコックが言うので俺は仕方なく自分のものと合わせてルフィを扱いてやった。最初は痛そうに顔を歪めていたが、徐々に快感を得てくるようになるとその先を強請るようになった。
すると段々コックの突き上げのスピードが速まった。ルフィが過剰にあんあんと反応する。少年の目が虚ろになってきた。彼自身にきつく爪を立てると、顎が天井を向き始めた。
「ァ、アっ、ィ、いくっ、…!」
瞬間、べちゃべちゃと俺の手にルフィの精液が降りかかった。彼のものは尚もなだ荒く脈打っている。暫くして、コックも低い呻き声と共にルフィの胎内へ射精した。その一瞬、コックと目が合ってしまい何とも少し恥ずかしい気持ちになった。そして俺も、コックに背を預けてぐったりとした少年の腹に向かって、なけなしの精を吐き出した。


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