*捏造、ジャンル、CPごちゃまぜ注意 log


(stsk 翼)




天羽翼は少年であった。
普通の、と言うには少し語弊があるかもしれない。彼は身長こそ同年齢の少年達より頭一つは高かったが、何分その内面が幼かった。他の少年達が持つ、現実社会を上手く生き抜く為の協調性というものを翼は持ち合わせていなかった。
その代わりと言っては何だが、翼は豊富な知識を持っていた。それは宇宙の真理であったり、化学式であったり、複雑な機械の構造であったり、偏りはあったがとにかく豊富だった。
天羽翼は少年である。だから当然嫌いな物も存在する。嫌いな物を二乗すれば更に嫌いになる事を翼は当然知っていた。体育とグループ行動、嫌いな科目と嫌いな教師、レバーとニラ。全て嫌いだった。
だから翼は好きな物を二乗すれば当然更に好きになるのだと信じて疑わなかった。一人の時間と実験、好きな科目と好きな教師。
しかし幾つか噛み合わない物も存在する。和食と炭酸飲料、それから。

青空と夜久。
翼は青空の事が好きだ。しょっちゅう怒らせ黒板に爪を立てられるが青空は翼の本質を理解し無理に触れる事はなかった。
翼は夜久の事も好きだ。入れるお茶は飲めないくらいまずいが、夜久は翼をよく気にかけ傍にいてくれた。
翼は二人が好きだった。
しかし二人が付き合うのだと全校生徒の前で公言した時、翼は酷く絶望した。どちらも好きなのに、その二乗は好きを上乗せする所か翼をどん底へと突き落とした。翼には理解が出来ない。どうしてこんなに悲しいのか、難しい数式は解けてもこんなに簡単な事を理解する事が出来なかった。
天羽翼は少年であった。
無知を純粋だと思い込んだ、子供にはもう戻れない少年であった。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -