流星


※ 夢主でてこない


 ありったけかき集めた輝かしい夢が終わり、己はいつしかひっそりと星を数える男だった。
 懐かしくも愛おしい青へと誘われたこともなかったわけではない。艶やかな鮮やかなその誘いも悪くなかった。しかし己はその風に乗り遅れてしまったのだ。或いは、その風は終息してしまったか。あの頃のような心を、情熱を、どこかに忘れてきてしまったらしい。そうでなければ風に乗り再び青にさらされていただろうが、今は星を数えている。
 どこにおいてきたのか、忘れてきてしまった。その少しだけ寂しい現実。過去が幸せだとは言わないが、今が不幸だと言うのも柄ではない。
 しかし、ぽかりと空いた穴に星の欠片を埋めたのは、他でもなく×××だ。流れる星とともに墜ちてきて――穴を埋めると同時に潰えて消えた。

 ×××を愛したことは、間違いだったのだろうか。また同様に×××が己を愛したことも間違いか。しかし彼女の微笑むその表情は愛おしく。魅せられた星の、×××の瞬きのぬくもりが、煌めきが愛おしく。微温湯に似た柔らかく残酷な、どう足掻こうともそれは変わらぬ事実であった。
 ただひたすらに、君が愛しいと零したのはいつだったか。
 陳腐だと軽薄だとチープな流行歌のようなお粗末さだと人は言うだろうが、ひたすら身の内で膨らむその感情は一夜の夢を眩しく、透けた木漏れ日を柔らかく、共に過ごす時をながく塗り替える。海風に揺れる黒ですらもどかしい。
 確かなことなど――証明になるようなものなどありはしないが、×××を愛していた。

 例えばこの感情が世間一般から間違いだと糾弾されることであったとしても、己に正直であったという哀しみがあるからこそ流れ往く星は涙を誘うまでに美しい。それだけに悲しくもあった。
 星が流れるように消えてしまうのなら、尾を引く余韻ではなく、欠片を。そう零して、少しだけ喘いだ。


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