一氏 ユウジ | ナノ




本気と書いてマジと読む

From :一氏 ユウジ
title:無題
―――――――――――――今日は部活はよ終わるから、校門で待っとけや。

    ―――end―――


突然届いたメール

直接言ってくれればいいのにと斜め前に座りHRを受けるユウジを睨みつけてやった。

視線に気がついたのか少し振り返った彼の唇が動いた。


"こっちみんなや、ブス"


このクソバンダナがぁぁぁ!!!!!
仮にも彼女様に向かってブスとは何だ!?

中の中、いや上くらいだし!!
いやいやいや、このくらいの暴言を一々真に受けてたらダメだ。
日常茶飯事じゃないか、杏里。
さぁ落ち着くんだ深呼吸ししろヒッヒッフーヒッヒッフー


ユウジの性格なんてわかった上で好きになったはずなのに、晴れて付き合ってからますます暴言をはかれている気がする………

私が勇気を振り絞った告白に対して『お前みたいな女、心の広すぎる俺くらいしか相手出来んやろな。付きおうたるわ。』

ぁ、思い出したら何かしんどくなった



<本気と書いてマジと読む>


とやかく言いつつも、メールくれたことも嬉しかったし一緒に帰れることも嬉しいし
大人しく校門でユウジを待つ。



「おう。待っとったみたいやな。」

「お疲れ。ちゃんと待ってるって返信したじゃん。」

「"しゃーないから、待っててあげてもいいよ。"のどこがちゃんとやねん。」

「ふーんだ。」

「アホくさ。帰るで。」

すたすたと歩き出してしまったユウジ

慌てて隣に並ぶ

「ねぇ、クレープ食べようよ。新作が出たんだって!」

「そんなもん食うたらますます太るで。」

「私そんなに太ってないし!」

「いや、付きおうてから確実に太っとるわ。」

「ぇ……嘘。」

そりゃぁ、少し増えたかもしれないけど見た目に現れるほどじゃない数字だったし…………
ショックすぎて言葉も出ない。

一段とブスになっとるでって言われても反論できない。

「あー、あれやな。今日は体のこと考えてクレープはなしや。」

「ぅん。」

「せやから、ケーキ食べ行くで。」

は?意味わかんないんですけど。
デブと言い放った本人が(そこまで言ってないけど)ケーキなんて食べさせるとか意味わかんない。

まさかユウジ、デブ専に路線変更!?


「なんや、その顔。ケーキ食べたないんか?杏里が言っとった駅前の限定ケーキやぞ。」

デブ専疑惑の眼差しを送ってると、ユウジが早口でまくし立てた

駅前の限定ケーキって…

カップル限定メニューの?
何度誘っても絶対に行ってくれなかったのに
かなり真剣な顔で小春とだったら行ってもええなぁって言ったからガチで殴り飛ばしたあの限定ケーキ

「………な、んで?」

夕日のせいなんかじゃなく顔を真っ赤にしたユウジ
もどかしいように頭をグシャグシャする

「もっ、もうすぐ一年やろが!そんなんも覚えられへんのかアホ杏里!!!!!」

付き合ってもうすぐ一年。忘れてなんかいなかったけど、ユウジが覚えててくれた上に記念日っぽいことまでしてくれるなんて、ミジンコほども思ってなかったから

でも、忘れてたことが一つだけあったよ。

ユウジの嫌いは好きって読むんだった



「素直じゃないんだから。」

「早よ行かんと気ぃ変わるかもしれん!!」

「ユウジ、好き。」

そんな彼が好きなんだ、私。

「うっさい!死なすど!」


その暴言すらも愛おしい愛の告白に聞こえる
ユウジに殺されるのなら本望だ

先に歩き出してしまったユウジの腕をつかんだら、べたべたすんなって言うけど

しっかり絡められた指先から愛してるって聞こえてるから
きっと明日も明後日も言葉の裏に愛を感じるの



end

(部室ではデレデレ杏里は誰よりも可愛いとか言ってるくせに、ダラシナいっすわ先輩。)
(ユウ君にしたら頑張ったやないのぉ!)
(んんー、エクスタシーやな一氏!)
(意味分からんで、白石。)(わいもケーキ食べたぃぃぃぃ!)
(今日は我慢ばい。)

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