木手 永四郎 | ナノ




等身大の愛言葉で


永四郎と同棲し始めて一年。
毎日が楽しいし、二人でいられるだけで幸せいっぱい
たとえ学校の掃除用具入れだとしても、永四郎と住むならベルサイユ宮殿

(部屋探ししてる時に言ったらハイキックされたんだった…)

2人で生活するために決めたルールの一つが沖縄貯金

沖縄までの二人分の旅費をコツコツ貯めてきたのだ

永四郎がルールを決めるときに
「私の育ったところを見て欲しいだけです。」
って小声で言ったのを私は聞き逃さなかった

2人で旅行ってだけでも舞い上がるのに、そんな事まで言われたら一日でも早く貯金がたまるように超節約

そのかいがあって、念願の沖縄なう!!!!!


「永四郎永四郎!空青い!ハイビスカス!海綺麗!」
「五月蠅いですよ」

バシィっといい音を立ててまず後頭部に一発頂く

「ありがとうございます!うわぁぁぁぁ、なんか空気が違うね」

「そうですね」

「ここが永四郎が過ごした場所なんだね。」

「テニスの苦い思い出もありますが…」

「すすすすすすす砂持ってかえろうかなぁ!?」

黙りなさいと吐き捨てる永四郎の視線のせいで南国にいるはずなのに極寒だった…

「早くしないと置いてきますよ。泳ぎたいって言ったのは杏里でしょう。」

私には目もくれずスタスタと歩き出すけど、ちょっとゆっくりなのは沖縄時間のせいじゃないのは知ってるんだから


「ねぇ永四郎、明日は通ってた学校とか見たいな。」
「ダメです。」

「何で!?」

「ダメな物はダメです。杏里なんか連れてったら在校生の迷惑になりかねませんからね。」


静かに出来る自信は皆無だから何も言い返せない…


まぁ、今のところは沖縄の海と永四郎の半裸を楽しむことにしよう

そんな事考えてたらまた肩に衝撃が来た
考えが顔に出てたらしい

しばらく歩いたら、賑わってる海水浴場が見えてきた。
着替えたらここに集合ですよ、わかりましたね?って10回位念を押されて別々の更衣室に押し込められた…
「お待たせ!」

今日のために新調した水着を着て準備万端
毎日腹筋したりして、頑張ったんだから!

「水着可愛いでしょー、ねぇ似合ってる?」

どやっ!っとその場でクルリと回って見せた

なのに永四郎はいつもの三倍くらい眉間に皺を寄せたまま

可愛いですよ、とか言えないのかこの男は

「…永四郎?どうしたの?この色、嫌いだった?」

「 」

「うわっ、ちょっと!何!?」

やっとなにか呟いたかと思ったら、着ていたパーカーを脱ぎだして私に投げつけてきた
そんなに見苦しいっていうの!?

「なんて格好してるんですか、あなたって人はまったく!こんな人前で「永四郎?」

苛立った調子で話し始めた時、永四郎さー、と言いながら数人の男の人が寄ってきた
お友達、かな?
更に永四郎が不機嫌になった気がするんだけど……


(え、私?どうしよう、何か話しかけられてるんだけど何言ってるかわかんない!
助けて永四郎!通訳してよぉ)

あたふたしてたら永四郎が沖縄弁で何か言ったらお友達らしき人たちは手を振って行ってしまった


「私、なんて言われてるかわかんなくて…、ごめんなさい、ちゃんと挨拶も出来なくて」

「挨拶なんてしなくてもかまいません。そんな下着みたいな水着着てるだけで、あんな風にむやみに声かけてくるような輩もいるんですから、黙ってそれ着てなさい。」

永四郎、もしかしてさ

パーカーを押しつけてきたのは、私の水着を他の人に見せたくないとか、そんな可愛い理由だったりする?

学校に連れてってくれないのは、友達にあって私が今みたいに声かけられるのが気に入らなかったから?


海水浴がしたいって言ったときずっと反対してたのって、私自惚れてもいいよね

「なんですか、そのだらしない顔は」

「永四郎、好き。」

「知ってます」

「大好き」

「これ以上喋ったらはり倒しますよ」






「愛してる」


次の瞬間には口の中が砂だらけだったけど、永四郎の唇が俺もですって動いたのは見逃さなかったんだから

「沖縄、良いところだね。いつか移住したい。」

「杏里に気に入っていただけて嬉しいです。」

さっきまで眉間にしわ寄せまくりだったくせに、その笑顔は反則すぎるんだけど!!

「でもパーカーは着てやんない!!」

もう少し可愛く拗ねる永四郎が見ていたい

気がついたときには綺麗な熱帯魚と目があったけど、これが照れ隠しと愛情表現だって知ってるよ、永四郎



end


(永四郎の彼女可愛いし!)(もったいないから俺と付き合ってよ!)
とか言われてたんだと思います…

[ 1/1 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -