ドラマティック・シネマ | ナノ







あの日から数ヶ月、色んな手を使って彼の事を知った。

幸運にも私の家は経済的に余裕があったし、私自身外部入学できるだけの頭があった

下準備は完璧だったと思う。

ほとんどが中等部からの持ち上がりのためかあっさりと式が終わってしまい、教室のでのHRの時間。

教室を見回しても彼の姿はなかった

「クラス、離れちゃった…残念」

ポツリと呟いてしまった言葉に前の席の子が振り返った。


「あなた、外部?友達と離れちゃったの?」

……友達、ではない

だって彼は私のことを知らない

「ぁ…うん、外部受験なの。」

「そっかぁ!珍しいね、私谷原香織って言うの。」

よろしくね!と言って笑った彼女の笑顔は眩しかった。

いい子そうだなと思った第一印象


さっそく友達ができて出だしは好調みたい。

いくら彼を追って入学したとはいえ、学園生活を楽しみたいし

友達は必要不可欠な存在だ

「ねぇ、杏里はなんで氷帝にしたの?外部って事は超頭いいじゃん!」

「いや、頭はそうでもないって…、ただね憧れの人に近づきたかったの…馬鹿みたいでしょ?」

普通の人が聞いたら本当に馬鹿みたいな理由だ、それだけで進路を決めてしまうなんて

でも、なぜか香織には素直に言ってしまった

「それってすっごく素敵!!ってかその人が羨ましいし!誰なの!?」

そんな屈託のない顔で言われると思わなかったから私が面を喰らってしまった…

「まだ、内緒」

えぇ〜、と非難の声を上げられたけどまだ言えない

だってその人は学園内外で絶大なる人気を誇る人だと聞いてる

迂闊に言ってしまったら、この先どうなるかなんて考えたくもない……

いい子だとはこの短時間でもわかったけど、女が怖い生き物だってよく知ってるしね

ま、従兄弟いわく私ほど恐ろしい女は見たことないだそうだ
…………否定はしないけど


でも、先生が来るまでの時間ずっとお喋りしたけど、氷帝生なのに気取ってないし香織の印象が覆ることはなかった



end

(彼を見つけられなかったけど、出だしは上々!)



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