仁王 雅治 | ナノ




0と0の間




「200円が一点、98円が一点、」

学校が終わると友達とのお喋りもそこそこにして、私は高校入学と同時に始めたバイト先へと向かう。


いつもの時間までもう少し。

「こちら温めますか?」


午後6時を過ぎると見える





銀色





―ピンポーン
「いらっしゃいませぇ。」

ガヤガヤと店に入ってくる数名の男子学生。
いつもこの時間に現れる。


今日も格好いいな、なんて作業をするフリして盗み見。
直視?ムリムリムリムリ、無茶いわないで。

私の銀色の君は友達から"におー"って呼ばれてて、テニスバック持ってるから多分テニス部。
きっと部活帰りなんだろうな。
制服からコンビニ近くの立海大付属中学校。
"先輩"って呼ばれてたから、私より二つか一つ年下。
独特の訛がある話し方をする。

そんな事しか知らないけど、バイト中は彼が来るこの時間が待ち遠しい。

学校も違う、ましてや年下なんて接点なんてあるわけもなく私たちは客とコンビニ店員。

「すいません」

テニスしてるとこ見たいな。
もっと知りたいな。
私のこと知ってもらいたいな。
「あの、すいませんお姉さん」

「ぁ!?はい!すいません、何かござ、いまし、たか…」
って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

「会計お願いしたいんやけど…」

待って、心の準備がっ…!

「すすすいません、148円が一点でしゅ!」
わぁぁぁぁぁぁぁ咬んだぁぁぁ!消えてしまいたいいぃぃぃぃぃ!!

「後そこの唐揚げ一つもらえるかの?」

「はい、あの!ご一緒に私のメアドはいかがですか!?」







…………………………………は?今なんつった私………………………




「じゃあ、お姉さんのメアドも一つもらおうかの。代金は俺のメアドでよか?」
………………今なんっつた、この少年は……………

「プププップライスレスです!」

「じゃ、レシートの裏に頼むけぇ」


「おおお買い上げありがとうございます!」



end

ギャー手が震える!



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