白石 蔵ノ介 | ナノ




永久凍土

*
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俺がどれほど君を好きなんかを


「蔵!教科書ありがとう、たすかったよ。」

「おん。涎垂らさんかったか?」

「失礼ね!寝てないもん!そう言えばね、蔵がお弁当作ってきてくれるようになってから肌とか調子よくて、居眠りも減ったよ!」

「ちゃんと勉強して栄養考えとるからな。」

「さすが未来の薬剤師!お見逸れします。」

「いや、食べてもろてるのが有り難いわ。」

「私、蔵の料理好きよ?たまに…苦いけど…」

「なんや、ゴーヤは体にええんやで!?」


毎日交代で弁当を作ってくるんが俺らのルール




俺なりに勉強して、色んな効用のある食べ物を中心にしとる事を。

今のままでも十分可愛ええんやけど、愛しい彼女にはいつまでも可愛くいてほしいやん?

その成果が出てきたんやろか?

「じゃあお昼楽しみにしてるね。」

「おん、授業中寝たらあかんで!」

「ううっ…蔵は浮気しちゃだめよ!」



始業チャイムが鳴るとクラスに帰ってった彼女
ふわりとシャンプーの香りがしてエクスタシーや……



俺が君以外生身の女なんかに興味がないことを

早く昼にならんやろか?
今日の弁当は一段と気合い入れて作ったんや



俺が君を好きになったんは一年前の今日やってことを


きっと今日も美味そうに頬張ってくれるんやろな
小動物みたいでえらいかわええんや、これが!



あぁ……チャイムが鳴りよった
待ちに待った昼休みやな

俺は鞄を持って待ち合わせた部室へと急ぐ



俺が一つしか弁当を用意していないことを


「すまん、待たせたな。」

「ぜんぜーん?さ、食べよっ、お腹ペコペコ!」

「おん、たんとお上がりやー。」

いただきますと手を合わせておかずを口に運ぶ彼女をみて自然と笑みが零れよる。
この瞬間が幸せや。

「私これ大好き。おいしい!」

「ほんま?俺とどっちが好き?」

「蔵が好き。」

「カッコ悪い俺も好き?」

「どんな蔵も大好き!」

「ずっと側におって?」

「当たり前じゃない!」

話しながらも彼女の箸が止まることはあらへん

どんな俺も…か、

「変なくら〜。どうしっ…ぁ…」

ガシャリと音を立てて床へ落ちる食べかけの弁当と"彼女"

俺もどんな君だって愛しとる

けどな、

「な、んかっハァ体が…ゲホッ」

「あぁ、もっと綺麗にしたるからな。毎日髪結って、化粧もしたる…」


もっと最高な形で側にいてほしいんや……


そっと触れた彼女の体温は異常に高かいのに、顔色は真っ青でいつもの彼女よりも美しい

「くっ…らぁ…?なんっゴホッゴホッな、の?」

荒く咳き込んだ唇から赤い液体が漏れる



俺が作った弁当が原因やいうことを


絶え絶えに俺の名前を呼んでくれるのが愛おしくてたまらん

「くっらぁ!苦しっゲホッ」

「あかん、そない力入れたら跡残ってまうやろ?」

苦しげに喉元を押さえる彼女の手を退けさせる
跡なんか残ったら台無しやんか


「愛しとるで。」


助けてと縋る手が空をきったのを最後に彼女は止まってしまった

その姿はどんな物さえ叶わんくらい綺麗で、手を触れることすら許されない美しさで


思わず赤く色づいた唇に触れてしまいそうになったけど、湧き上がる気持ちをぐっと押さえ込む

だんだんと下がる彼女の体温
ついさっきまで香っていた彼女のシャンプーの香りに別の匂いがまじる

「ん…エクスタシー…」

どうしようもなく興奮してまう




俺が屍体愛好者やということを






(今の君がいっちゃん綺麗やで)

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