企画リクエスト | ナノ






いつの話だったか忘れてしまうくらい子供の時。
いつか私だけの王子様が迎えに来てくれるといった私にイチャモンを付けてきた奴らがいた。
っていうか、イチャモンってなんだ?ピカチュウ的ななにかか?
イチャモォォンって喋るんだぜきっと。
いや、そうじゃない。夢見る可愛い可愛い私に…えーと、なんて言われたんだっけ?


<シーソーゲーム>



「おい謙也、お茶いれて来いよ。決定事項だ。」
「ちょぉお前どこの暴君やねん。言いだしっぺがいれろ、決定事項や。」
「どっちでもいいから菓子忘れんとき。三秒以内に行け決定事項やで。」
「ううううぅ、持病の癪が…!!」
「なんや杏里苦しいんか?触診したるぶほぇ!!」
「黙れ変態医療ミスで訴えられて負けろ。」

久しぶりに祖父母の顔を見にいった大阪。
元気そうな様子に一安心して、数日滞在することにしたわけだが…
どういう訳か幼馴染二人が居座っていた。

「だいたいなんであんたたちがいる訳?自分の家帰んなさいよ。」
「せやかて杏里のばぁちゃんがじいさんと旅行に行くけど杏里がおる間、心配やからいたってや。っていうから。」
「おばあちゃんも予定があるなら早く言ってくれればよかったのに。だいたいなんで謙也なのよ。侑士は何しに来たの?」
「母さんがが杏里がくるから侑士も見習いやってゆうから、折角やし休暇取ってきたわ。そしたら謙也がここに来るゆうから来たんや。」
「…おばちゃん、余計なことしよってにっ!!」
「なんか言った?」
「いや別に!!!」

ま、謙也と侑士なら不自由を感じることもないんだけどね。
三人で揃うなんていつ振りかな?
三年前の正月?
社会人になってからは正月に会うことすら難しくなった。
小さいころは日が暮れても笑いあったのに。
それも小学5年の時に私が大阪を離れる時までだったけど。

「侑士、仕事どう?」
「ん?ぼちぼちやな。杏里を養って贅沢させたるくらいには稼いどるで。式はいつにしよか?」
「謙也は?」
「無視?無視なん、杏里?侑士君泣いてまうで…」
「俺は毎日戦争やけど楽しいで。あああぁぁぁれや杏里、教師のよmっnjkdgsuayftgbフジコ!!!!!!!」
「(それ以上言わせるか、アホ謙也)で、杏里はどうなん?」
「私?毎日てんてこ舞だけど、充実してるよ。やっぱりやりがいあるし!!今度ね、小さいけど個展をやらせてもらうことになったの!!二人とも来てよ絶対きてよ見に来ないと殺すからな忘れんなよ。」

たしかに私たちは大人になったけどなんら変わらないやり取りに、思わず笑ってしまう。
(かわっ…!!めっちゃ可愛くなりよって杏里!!!)
(ほんま杏里の笑顔がいっちゃんかわええわ。)

「二人ともなにだらしない顔してんのよ気持ち悪い。」
「相変わらず姫さんはつれへんな。」
「で、早くお茶よこしなさいよ。」
「はいはいお姫様。紅茶でええか?」
「紅茶が良いけど、この家にあるの?」
「来るときに買うてきたんや。」
「おお!!謙也にしては上出来じゃないの!褒めてつかわす!!」

(どや、侑士。)
(その顔うっざぁ。禿ろ金髪。)

「俺かてケーキ買うてきたで、褒めてや杏里」
「おお!!偉い!偉いぞ侑士殿!!よーしよしよし!」

(どや、謙也。)
(死ね伊達眼鏡。)

侑士の髪は相変わらず癖毛だなぁ。
無駄にキューティクルでムカつく。後で2.30本毟ってやろう。

「医者に教師か…。世も末ね…。」
「「なんや、嫁に来る気になったか?」」
「いや、全く。今の発言でそう思ったのなら耳鼻科いけお前ら。」

昔から二人とも容量がよくて、テニスもできて…
中3の時の全国、本当にかっこよかったな。
そんな二人が立派な職業についてさぞかしおモテになるんでしょうね。
従兄弟のひいき目なしでも見た目は抜群だし。

「私は仕事と結婚したの。」
「またそれか。」
「なによー謙也!!侑士先生、謙也先生がうるさいですぅ。」
「なぁ、杏里もう一回言ってみ。」
「は?」
「侑士先生って、ごっつええわ…」
「黙れ変態侑士!!杏里こっち来いや!!!そないな奴の傍おったらあかんで!!」
「うわぁぁぁぁぁぁん謙也ぁぁぁぁ!!ってお前もどこ触っとんじゃボケェェェ!!!!」

「へタレのくせに!!ローラースケートで調子こいてクラッシュした上に土手から落ちたくせに!!」
「なんで今それをっ!!」
「せや、あったあったそんなこと。後、小6の時の運動会で最後までズボン後ろ前にはいとったしな。」
「うっさいわ侑士!!お前かて幼稚園の時ガラスの迷路で出られんくなった上に顔面強打して泣いたくせに!!」
「えーなにそれ謙也マジダサい超ウケるし。あの時の侑士可愛かったよね、おばさんに救出されて。」
「学校の防火扉に激突してブザー鳴らしたお前に言われたないわ!!」
「汲み取り式のトイレに落ちかけた時に助けたった恩を忘れたんか!!!」
「はぁ?何の事だかわかりませえええん!!」
「こんの伊達眼鏡がぁっ!!!!」

あ、思い出した。
こいつら、私に向かって…

『はぁ?んなもんおらへんわ。待つのは時間の無駄や。』
『せやなぁ、そんないつ来るかわからん奴やめとき杏里』
『嘘や!おるもん!!絶対うちのこと迎えに来るんやもん!!覚え時や、そん時は幸せいっっっっっぱいの家と王子に土下座させたるからなアホ共!!』
『やって、謙也。今から俺に土下座せぇや。」
『寝言は寝て言うもんやで、侑士。俺に土下座しぃ。』
『二人とも何ゆうとんの?』
『『杏里は俺と結婚するんや!!!!!!』』
『や、それわないわ…』

そうだ
そうだった

本当に変わらない

「おっかしい…あははははははっ!!二人とも、結婚するときは絶対呼んでよね。世界一かっこよく撮ってあげる!」
「それは無理な話やな。」
「無茶な話やで杏里。」

私の好きな紅茶もケーキも
同じくらい二人のこと好きよ

でも、後一歩なんだな侑士も謙也も

あー美味しい。
夕ご飯はお好み焼きがいいな。
きっと二人なら美味しいところ知ってるだろうし。
明日は三人で小学校とかよく遊んだ公園とか行きたいな。



「「杏里は俺と一緒に世界一綺麗に写るんやからな。」」


「え?なんか言った?」

「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!?」
「……ま、杏里さんは通常運行ということやね…俺泣かへんしっ!!昔からやし…!!」
「二人ともうっさい!!!!」


だから、私がもう少し大人になれるまで待っててよ王子様
今はこのままでいさせてほしいの
二人には悪いけど、必ず土下座させてやるんだから



end












prev next