小説 | ナノ

謙也兄ちゃんと夏の日


「兄ちゃん、どっかいくん?」

鬼のように出された宿題と格闘すること、数時間。
やっと宿敵を倒して部屋を出ると玄関で兄ちゃんを見つけた。


「おん。コンビニまで。」

「ほなら、CanCam買うてきてや。後アイスも頼むわ。」

「ええで。何味や?」

「バニラがええ。」

「おん。」

「行ってらっしゃい。」

日が暮れたとはいえ、このくそ暑い中外に出ようとはミドリムシ程も思わなかった私にはグットタイミング。
あの兄ちゃんの事やからすぐに帰ってくるだろう。
なんせ浪速のすぴーどすたーらしいからな。

ちゅーか、誰がつけたあだ名なんやろな。
マジで笑かすわ、ホンマに。
兄ちゃん自身やったら痛すぎて目頭が熱い。


「帰ったでー。」

「お帰り。麦茶飲む?」

「飲む。」

ま、買い物してきてくれたから一杯くらい入れたる。私、優しい。
マジ感動するし。

麦茶が注がれたグラスを両手に持ってリビングに向かう。

ソファーで買ってきたのであろうジャンプを読む兄ちゃんの隣に腰を下ろす。

「はい、お茶。」

「ありがとさん。そこの袋入ってる。」

「おん。ありがと。」

エアコン効かせた涼しいリビングでアイス食べて雑誌読んでグダグダするとかマジ最高じゃねぇの!

鼻歌交じりにコンビニ袋を物色する私だが、ふと手を止めた。

「………兄ちゃん、もっかいコンビニ行きや。」

「アホか、なんでやねん。」
「アホは兄ちゃんやし!これCanCamやのぅてAneCanやし!!!!!!!!!

「そない変わらんやろ。」

「タイトルくらい確認して買うてこいや!」

「いっつもそないな表紙の読んどるやろ!?」

お使いもできないのか、この兄貴は!

「赤丸と週間ジャンプくらいちゃうっちゅーねん!!」

「それやったら、よく間違うやんか…」

「うっさい!」

「いだっ!」

意外と厚みのあるAneCanを投げつけてやったや、角がヒットしたらしく床をのた打ち回る兄ちゃん
なんたらスターには床がお似合いや!

「あとアイス!意味分からんし!!」

「ちゃんとバニラ買うてきたやろ!?」

「なんでスーパーカップやねん!?バニラ言うたらMOWやろがっ!

しらんわっ!アイスいらんのやったら、食うからな。」

「いらんとは言うてへん!」
「どないやねん!!」

あーあ、白石先輩やったら完璧にお使いしてきてくれれんやろな…

CanCam買うてきたで〜
アイスはもちろんMOWやで!とか

それはそれでキモイな



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